弓道の段位一覧|級・初段〜十段・錬士・教士・範士の仕組みと合格率

当ページのリンクには広告が含まれています。

道場で「あの先生は教士七段」と聞いても、それがどのくらいすごいのか、正直ぴんとこない。段位の話は、始めたばかりのころにいちばん置いていかれる話題かもしれません。

わたしは大人になってから弓道を始めて、まだまだ段位を持っていません。段位を持っていない側から仕組みを調べてみたら、思っていたよりずっと細かく決まっていました。何段から先は何か月あけないと受けられない、どの段からは全国の審査会でしか受けられない、といったことまで規程に書いてあります。

先に全体像を書くと、弓道には級が5つ(五級〜一級)、段が10(初段〜十段)、称号が3つ(錬士・教士・範士)あります。始めたばかりの人は、まず「無指定」という区分で審査を受け、その結果で級か初段が決まります。

この記事は、全日本弓道連盟(以下、全弓連)の審査規程と、全弓連や県の連盟が公表している数字をもとに整理しました。

この記事でわかること
  • 弓道の級・段位・称号の一覧と順番
  • 初心者が最初に受ける「無指定」審査のこと
  • 次の段を受けられるまでの期間と、規程上の最短の年数
  • 公開されている審査結果から見た、どの段から難しくなるか
  • 錬士・教士・範士の称号と、段位との違い
目次

弓道の段位一覧|級・段・称号の3つの段階

弓道の資格は、級位・段位・称号の3つの段階に分かれています。どれも全弓連が審査規程で決めていて、どの都道府県で受けても同じ仕組みです。一覧にすると、こうなります。

区分名前審査の中身主に受ける場所
級位五級〜一級行射(実際に矢を射る)地方審査
段位初段〜四段行射+学科地方審査
段位五段行射+学科連合審査
段位六段行射+学科中央審査
段位七段・八段行射+論文中央審査
段位九段・十段審査ではなく選考—
称号錬士行射+面接+学科中央審査
称号教士行射+面接+論文中央審査
称号範士審査ではなく選考—
全日本弓道連盟「審査規程」をもとに整理(2026年10月時点)
弓道の級位・段位・称号の段階と、それぞれを受けられる審査会の図

「地方審査」は都道府県の連盟が開く審査会で、四段まではここで受けられます。五段は、いくつかの県がまとまって開く「連合審査」で受けます。六段から上と称号は、全弓連が開く中央審査になり、都道府県の審査会に比べると受けに行ける機会が限られます。

級位は行射だけで決まりますが、段位になると学科(筆記)が加わり、七段・八段では論文になります。称号の審査では、指導する立場としての面接も入ります。上に行くほど、射の技術だけでなく、弓道について語れること、人に教えられることが求められていく作りです。

段位の正式な書き方と並び順

弓道の段位は、初段・弐段・参段・四段・五段……と書きます。二段・三段ではなく「弐」「参」を使うのが、規程どおりの書き方です。称号は錬士・教士・範士の順に上がっていきます。

称号を持っている人は、「錬士五段」「教士七段」のように称号と段位をつなげて呼ばれます。履歴書にどう書くかは、弓道の段位は履歴書に書ける?書き方と正式名称で別にまとめます。

最高段位は十段。九段・十段と範士は「選考」

段位は十段までありますが、審査で受けられるのは八段まで。九段・十段と範士は、受けに行くものではなく、全弓連の審議会の選考で決まります。八段の審査は規程上の判定も最もきびしい部類で、そこから先は「長年の功績を認められる」世界だと考えておくとよさそうです。

初心者が最初に受けるのは「無指定」審査

五級から順番に受けていくのかと思っていたのですが、そうではありませんでした。はじめて審査を受ける人の多くは、「無指定」という区分で受けます。受ける段や級を自分で決めずに受けて、行射と学科の結果で、初段か級位のどれかが認定される仕組みです。

ポイントは2つあります。ひとつは、最初の審査でいきなり初段が認定されることもあること。ただし初段になるには学科にも合格している必要があります。もうひとつは、級位は飛び級ができること。五級から一つずつ上がる必要はなく、力に合った級が認定されます。

一方で、段位は飛び級がありません。初段の次は弐段、その次は参段と、一段ずつ受けていきます。

教室に通い始めたばかりのわたしから見ると、「最初の審査で初段もありうる」というのは意外でした。とはいえ、いつ審査を受けるか、どの区分で受けるかは自分だけで決めるものではなく、指導してくれる先生や所属する連盟の案内に沿うのが基本です。大人から始める流れ全体は、大人から弓道を始めるにはにまとめています。

各段で求められること

規程には、段ごとにどのくらいの段階に達していればよいかが書かれています。かみくだくと、次のような流れです。

  • 一級:射の形と立ち居振る舞い(体配)がおおむね正しい
  • 初段:射の形と体配が型に合っていて、矢の当たる場所が乱れない
  • 弐段:形と体配が整い、気力が充実していて、矢所が乱れない
  • 参段:射の形が定まり、矢がまっすぐ飛んで、的中がやや確実
  • 四段:離れが鋭く、的中が確実

初段・弐段では「矢所が乱れない」ことが言われていて、参段から「的中」という言葉がはっきり出てきます。参段から合格の割合がぐっと下がる理由は、このあたりにもありそうです(あとで数字を見ます)。

学科の問題は、全弓連の『弓道教本 第一巻』の内容がもとになっていて、射法八節や弓道の考え方が問われます。審査の申し込みから当日の流れ、合格発表までは弓道の審査とは|申込〜合格発表までの流れと持ち物、筆記の答え方は弓道審査の筆記(学科)の書き方|問題例と答案の組み立て方、初段の審査で見られることは弓道初段の合格基準と審査内容|体配・間合い・射型のポイントで、それぞれ整理しています。

弓道教本 第一巻(全日本弓道連盟)

審査の学科は、この教本の内容がもとになっています。射法八節や体配の考え方を確かめるための基本の一冊です。全弓連の公式サイトからも購入できます。

次の段を受けられるまでの期間と、最短の年数

段位は、取ったらすぐ次を受けられるわけではありません。規程で、前の段を取ってから一定の期間をあけることが決まっています。

  • 五段まで:今の段を取ってから5か月
  • 六段から上:今の段を取ってから1年
  • 錬士:五段を取ってから1年
  • 教士:錬士を取ってから2年、かつ六段を取ってから1年

この期間を、初段を取った日から順番に足していくと、規程の上での最短はこうなります。

段位・称号前の段からあける期間初段から数えた最短
弐段5か月5か月
参段5か月10か月
四段5か月1年3か月
五段5か月1年8か月
六段1年2年8か月
錬士五段から1年2年8か月
七段1年3年8か月
教士錬士から2年・六段から1年4年8か月
全日本弓道連盟「審査規程」第23条の期間を足し合わせた計算上の最短

ただし、これはすべての審査に一発で合格し、しかも期間が明けた直後に審査会があるという、ありえないくらい順調な場合の数字です。実際には、もっと長くかかるのが現実でしょう。

理由のひとつは、審査会の回数。地方審査は各県で年に2回以上と決まっていますが、5か月が明けた月にちょうど審査があるとは限りません。五段からは連合審査や中央審査になり、受けに行ける機会がさらに減ります。そしてもうひとつが、次の章で見る合格の割合です。表の数字は「これより早くは上がれない」という下限で、目標にする年数ではありません。

なお、受審の期間は審査会によって短くして行われることもあり、その場合は要項に書かれます。実際に受けるときは、所属する連盟の審査要項を見てください。

どの段から難しくなる?公開されている審査結果から

弓道の段位の合格率は、全国の数字としては公表されていません。ネットでよく見かける「初段は8〜9割」「参段から一気に落ちる」といった話も、出どころの数字が示されていないことが多い話です。

そこで、受審者数と合格者数を公開している県の連盟の審査結果を2つ見てみました。

段位神奈川県(2024年6月の地方審査)栃木県(2023年11月の審査会)
初段21人/23人(約91%)55人/72人(約76%)
弐段190人/215人(約88%)22人/64人(約34%)
参段20人/182人(約11%)16人/53人(約30%)
四段17人/206人(約8%)3人/40人(約8%)
合格者数/受審者数。神奈川県弓道連盟・栃木県弓道連盟の公開している審査結果より

この2回を見るかぎり、初段は7〜9割が合格しているのに対して、参段は1〜3割、四段は1割を切っています。弐段は、神奈川では9割近く、栃木では3割台と、回によって大きく違いました。

「参段の壁」という言い方はよく聞きますが、数字で並べてみると、本当にそこで景色が変わるんだなと思いました。合格の割合がこれだけ低いと、何度か受け直す人も多いはずです。前の章の「最短の年数」がそのまま当てはまらないのは、このためだと思います。

ただ、合格の割合は、県や回、その回を受ける人の層(高校生が多い回か、一般の人が多い回か)でかなり変わります。上の数字は「この2回ではこうだった」という例として見てください。

五段から上は、規程の上でも判定がきびしくなります。審査員の票について、四段までは行射で5割以上の票が合格の基準ですが、五段・六段は7割以上。七段と錬士は二次審査まであって通算7割以上、八段と教士は通算8割以上が必要です。

称号(錬士・教士・範士)とは|段位との違い

段位と称号は、似ているようで性格が違います。段位が射の技量の段階を表すのに対して、称号は指導する立場としての資格を表すもの、と考えると分かりやすいです。規程でも、錬士には「指導の実力があること」、教士には「指導に必要な学識と実力」、範士には「弓界の模範となること」が求められています。

称号には受けるための条件があります。

  • 錬士:五段以上を持っていて、五段を取ってから1年たっている
  • 教士:錬士を持っていて、錬士から2年、六段から1年たっている
  • 範士:教士を持っている人の中から、審議会の選考で決まる

どのくらいの人が持っているのかも見ておきます。全弓連の公表では、2025年3月31日現在の会員数が143,759人。そのうち錬士は4,704人、教士は1,940人、範士は63人でした。称号を持っている人は合わせて6,700人ほどで、会員全体の5%に届きません。範士にいたっては、全国で60人あまりです。

初心者から見ると、錬士でも十分に雲の上の存在です。称号を持った先生に教わる機会があったら、それだけ長く稽古を積み、人に教える立場として認められてきた人なんだ、と思って話を聞くと、言葉の重みが違って聞こえるかもしれません。

称号と段位はセットで呼ぶ

称号は段位の代わりではなく、段位と並んで持つものです。そのため「錬士五段」「錬士六段」「教士七段」「範士八段」のように、2つをつなげて呼ばれます。錬士五段の人が六段に上がれば「錬士六段」。称号と段位はそれぞれ別に審査を受けて上がっていきます。

審査にかかるお金

審査を受けるときは審査料、合格すると登録料がかかります。全弓連の審査料と登録料だけで、合格した場合は初段で約5,000円、四段で約1万1,000円です。金額の表は弓道にかかる費用にまとめています。

目を引くのは、高い段の登録料です。五段で1万円を超え、六段の登録料は30,900円、八段では72,000円になります。錬士の登録料は41,000円、教士は62,000円です(全弓連の別表、2026年10月時点)。都道府県の連盟によっては、これに独自の協力金などが加わることもあるので、実際の金額は所属する連盟の審査要項で確認してください。

弓道の段位のよくある質問

Q. 弓道は何段まであるの?

十段までです。ただし審査で受けられるのは八段までで、九段・十段は全弓連の審議会の選考で決まります。称号では範士が最上位で、こちらも選考です。

Q. 何段から「すごい」と言えますか?

段で人を比べる言い方は、あまりしないほうがいいと思っています。そのうえで目安を挙げるなら、称号の錬士を受けられるのが五段から、という区切りがあります。規程の上では、このあたりから「指導する側」の資格が視野に入ってきます。公開されている審査結果でも、参段・四段から合格の割合が大きく下がるので、四段を持っている人は、それだけ稽古を重ねてきた人だと言えそうです。

Q. 中学生・高校生でも段位は取れますか?

審査規程には、受審できる年齢の決まりはありません。学生向けの審査会を開いている県もあり、高校の弓道部で段位を取る人は多くいます。部活での弓道については、弓道部とは|練習内容・1年の流れ・費用・向いている人にまとめています。

Q. 審査に落ちたら、すぐに受け直せますか?

規程にある「5か月」「1年」の期間は、今の段を取ってから数えるものです。不合格のあとに次の審査会で受け直せるかどうかは、その審査会の要項で決まるので、所属する連盟の案内を見てください。

Q. 弓道の段位は履歴書に書けますか?

書けます。書き方や正式名称は弓道の段位は履歴書に書ける?書き方と正式名称で別にまとめます。

まとめ|最初の一歩は「無指定」、壁は参段から

弓道には五級〜一級、初段〜十段、錬士・教士・範士の称号があります。四段までは都道府県の地方審査、五段は連合審査で受けられ、六段から上と称号は中央審査。九段・十段と範士は選考です。

始めたばかりの人は「無指定」で受けて、級か初段が認定されるところから始まります。段は一段ずつで、五段までは前の段から5か月あける決まり。公開されている審査結果を見ると、初段は多くの人が通る一方、参段・四段で合格の割合が大きく下がります。急がず、一つずつ積み上げていく道だと思っておけば十分です。

学科も含めて、審査の土台になっているのは『弓道教本 第一巻』です。稽古で教わったことを言葉で確かめたくなったら、手元に置いておくと役に立ちます。

弓道教本 第一巻(全日本弓道連盟)

審査の学科のもとになっている基本の一冊です。全弓連の公式サイトからも購入できます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

大人になってから弓道を始めた初心者です。以前は抜刀の教室に通っていました。道具の選び方も作法も、はじめは何もわからず調べる毎日。同じところでつまずく人のために、調べてわかったことを一つずつ整理しています。

目次