弓道部とは|練習内容・1年の流れ・費用・向いている人

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東京で電車に乗っていると、細長い袋に入った弓を抱えた学生をけっこう見かけます。弓道を始める前から、「弓道部の子は持ち運びが大変そうだな」と、なんとなく思っていました。

高校で弓道部に入ろうか迷っている人や、お子さんが「弓道部に入りたい」と言い出した保護者の方は、たぶんいくつかの疑問を持っていると思います。経験がなくても大丈夫なのか。いつから弓を引けるのか。お金はいくらかかるのか。

わたしは大人になってから地域の教室で弓道を始めたので、弓道部の経験はありません。ただ、教室には高校生もいて、部活ではどんな1年を過ごすのかが気になり、調べてみました。

先に結論を書くと、弓道部は高校から始める人が多い部活です。入部してしばらくはゴム弓や体づくりが中心で、的の前に立つのは夏ごろ。道具代は弓以外で6万〜10万円ほど。合うかどうかは、すぐに結果がほしいタイプか、同じ動作をコツコツ繰り返せるタイプか、で分かれると思います。

この記事は、全国高等学校体育連盟弓道専門部の弓道部実態調査と、各地の高校が公開している弓道部の紹介をもとに整理しました。

この記事でわかること
  • 弓道部の部員数と男女の割合、どんな人が入っているか
  • 毎日の練習と、入部から的前に立つまでの1年の流れ
  • 弓道部にかかる道具代の目安
  • 弓道部に向いている人・合わないかもしれない人
  • 保護者が入部前に確認しておきたいこと
目次

弓道部とは|高校から始める人が多い部活

弓道部は、和弓で28m先の的を射る弓道に取り組む部活です。全国高体連弓道専門部の令和8年度の調査では、全国の高校の弓道部員は約6.4万人。部員のいる高校は約2,000校あります。こんなに多くいるんですね。

野球やサッカー、バスケットボールと違うのは、中学までに経験している人が少ないことです。中学校に弓道部はあまりないので、高校の弓道部に入ってくるのは、多くが初心者です。県内の中学校に弓道部がほとんどなく、入部する生徒のほとんどが初心者だと紹介している高校もあります。

多くの部員が、同じスタートラインから始めることになります。運動部の経験がなくても、高校1年の4月からで遅くありません。

一人ひとりの的中を、チームで競う

弓道は、自分の射に向き合う個人の競技に見えます。でも部活の大会では団体戦が中心で、インターハイやその予選の県総体では5人で1チームを組み、全員の的中数の合計で競います。1人が1本外しても、仲間が中てれば取り返せる。逆もまたしかり、です。

チームの中では射る順番(立ち順)にも役割があり、先頭を「大前(おおまえ)」、最後を「落ち(おち)」と呼びます。個人戦もあり、こちらは的中数で勝ち上がり、同じ数の人どうしは1本ずつ射て決めます。

中学に弓道部がない場合

中学生のうちから弓道をやってみたい場合は、地域の弓道連盟や弓道会が開く教室・体験会が入口になります。小学生や中学生を受け入れている教室もありますが、対象年齢は団体ごとに違います。中学生向けの探し方は中学生が弓道を始めるには|部活がなくても通える教室と探し方で整理しています。

弓道部の活動内容と、入部から1年の流れ

ここがいちばん知りたいところだと思うので、各高校が公開している弓道部の紹介を読み比べて、練習の様子と1年の流れをまとめました。学校によって違いはありますが、大きな流れはかなり似ています。

練習は週5〜6日、平日は放課後の2時間ほど

活動日は週5〜6日の学校が多く、平日は放課後の2時間前後、土曜日は午前中か1日練習、という形がよく見られます。日曜日は休みにして、大会や練習試合のときだけ活動する学校が多いようです。

練習の中心は、的に向かって矢を射る「射込み(いこみ)」と、決まった本数を射て的中を記録する記録会です。そのほかに、体幹トレーニングや筋トレを組み込んでいる学校も少なくありません。道場が狭い学校では、部員を2つに分けて交代で使っているところもあります。

最初の数か月は弓を引かない|ゴム弓・徒手・素引き

入部してすぐに弓を持って的の前に立つ、ということはありません。最初の数か月は、こんな練習が続きます。

  • 徒手(としゅ):弓を持たずに、射の動作を体で覚える
  • ゴム弓:握りの付いた棒にゴムを張った練習用具で、引く動作を繰り返す
  • 素引き(すびき):本物の弓を、矢をつがえずに引いてみる
  • 巻藁(まきわら):目の前の藁の束に向かって、至近距離で矢を射る

先輩たちが的に向かって射ている横で、自分はゴム弓。正直、地味に感じる時期だと思います。わたしも教室で素引きや巻藁の期間がありましたが、矢を的に向けて射てないあいだは、早く前に立ちたい気持ちは少しありました。弓道を始めたばかりの人が口をそろえて言う「最初は地味」は、部活でも同じようです。

ただ、この時期に形を作っておかないと、的前に立ってから苦労します。危険を避けるためにも、ここは省けない段階です。他の武道やスポーツにおいても最初は地味なことは普通かなと思います。

的前に立つのは7月ごろ。夏は合宿と大会

公開されている紹介を見ると、1年生が的前に立てるようになるのは7月ごろ、と書いている学校が複数ありました。「遅くとも7月あたりには的に向かって練習できる(個人差あり)」という書き方です。夏休みに入ると、学校によっては合宿があり、夏休みの終わりごろから1年生も大会に出始めます。

1年生の秋〜冬に、初めての審査を受けることが多い

弓道には、全日本弓道連盟(以下、全弓連)の段位があります。弓道部では、1年生の秋から冬ごろに最初の審査を受けて初段を目指す流れが多く、紹介に「1年生の冬に初段審査」「1年生のうちに初段を取得できるほど上達する」と書いている学校もあります。

審査の申し込みは学校を通して行うのが基本です。申込から当日の流れは弓道の審査とは、段位の仕組みは弓道の段位一覧にまとめています。

大会の1年|春の県総体から、冬の選抜まで

大会の流れは、だいたいこんな形です。春(4〜6月ごろ)の県総体(高校総体の県予選)が最初の大きな山で、勝ち上がると8月の全国高校総体(インターハイ)へ。秋には新人大会と選抜大会の予選があり、12月に全国選抜大会。冬から春にかけても、県や地域の大会が続きます。

3年生にとっては、春の県総体と、勝ち進めば夏のインターハイが大きな最後の舞台になります。大会に出られる期間は、思っているより短いかもしれません。

ここまでの1年の流れを図にすると、こうなります。

弓道部の1年の流れの図(入部から的前、夏の大会、秋〜冬の初段審査まで)

弓道部にかかる費用|弓以外で6万〜10万円ほど

弓道部では、弓は学校のものを借りるのが一般的です。個人で買うのは、弓道着(上衣・袴・帯・足袋)、ゆがけ(弽・かけ)、矢、矢筒や小物。2026年10月時点で高校が公開している費用の案内では、弓以外の一式が6万〜7万円の学校が多く、高い学校では10万円ほどでした。

ここに、学校によって合宿代や部で揃えるウェア、練習試合や大会の交通費が加わります。弦などの消耗品も、使ううちに買い足していくものです。

道具ごとの値段や、学校ごとの費用の例は弓道にかかる費用の「高校の弓道部にかかる費用」で詳しく整理しています。道具の名前と役割は弓道の道具一覧へ。

弓道着は、部で色や購入先が決まっていないなら、上衣・袴・帯・足袋がまとまったセットが楽です。

弓道着の初心者セット(上衣・袴・帯・足袋)

翠山弓具店のセットは、男性用5点、女性用6点(胸当て付き)。部で色や購入先の指定がないか、顧問の先生に確認してから選んでください。

弓と矢を持つ弓道部員の手元

弓道部に向いている人・合わないかもしれない人

「弓道部に向いている人」を調べると、集中力がある、忍耐強い、といった性格の話がたくさん出てきます。でも入部を迷っている人が本当に知りたいのは、「自分のこの不安は大丈夫か」のほうではないでしょうか。よくある迷いごとに整理してみました。

こんな人・こんな不安弓道部との相性理由
運動が苦手合いやすい走る速さや体格より、技術と集中が大事な競技。ただし体幹トレーニングや筋トレはある
すぐに結果がほしい考えておきたい数か月は的前に立てず、立ってからも4本すべて外す日がある
同じ動作をコツコツ繰り返せる合いやすい練習の大半は、同じ動作を何百回も繰り返すこと
チームで頑張りたい合いやすい大会は団体戦が中心。仲間の一本に一喜一憂できる
勉強やほかの活動と両立したい学校しだい週5〜6日の学校が多い。兼部や習い事との両立は顧問に相談
道具代の負担が心配入部前に家庭で相談弓以外で6万〜10万円ほど。合宿がある学校はさらにかかる
各高校の弓道部の紹介をもとに整理。学校によって違う

運動が苦手でも合いやすい、というのは本当で、体力や運動神経よりも、技術や集中力などの精神面が重視されると紹介している学校もあります。体力づくりから入る学校もありますが、それは弓を引くための体を作る意味合いが強く、速く走れる必要はありません。

「ある日できるようになる」を楽しめる人

わたしは以前、抜刀の教室に通っていました。そのときも、何度やってもできない動きが、失敗を重ねるうちにある日ふっとできるようになって、それからは再現できる、ということがありました。弓道もまさにそういう世界です。

なかなか中らない(あたらない)時期が続いても、昨日の自分と比べて少しずつ形が整っていくことを楽しめる人は、きっと弓道部に向いていると思います。

「弓道部はやめとけ」と言われる理由

ネットでは「弓道部はやめとけ」という声も見かけます。理由として挙がるのは、だいたい次の3つです。

  • 的前に立つまでの基礎の期間が長く、地味に感じる
  • 中らない時期が続くと、精神的にきつい
  • ほかの部活に比べて、道具代がかかる

どれも事実ですが、入る前に知っていれば構えられることでもあります。詳しくは「弓道部はやめとけ」は本当?大変なところと続く人の共通点で整理しています。

弓道部の女子|部員の半分以上は女子

意外かもしれませんが、高校の弓道部は女子のほうが多い部活です。令和8年度の高体連の調査では、女子が約3.7万人、男子が約2.7万人。部員全体の半分以上を女子が占めています。そうなんですね。ちょっと驚きでした。

男女で的の距離や大きさは変わらず、同じ28m先の的を射ます。団体戦は男子と女子に分かれて行われるのが一般的です。

道具でいちばん違うのは、胸当てです。弦が胸に当たらないように、女子は上衣の上から胸当てを着けます。弓道着も女性用があり、袴の形が少し違います。選び方は弓道着の選び方で整理しました。

弓の強さは、男女というより一人ひとりの体と上達に合わせて決めるものです。最初は学校の弓の中から、先生や先輩と相談して自分に合うものを使うことになります。

保護者が入部前に確認しておきたいこと

ここからは保護者の方向けです。弓道部は学校ごとの差が大きいので、入部説明会や顧問の先生からの案内で、次のことを確認しておくと安心です。

確認したいことなぜ確認するか
道具を買う時期と購入先学校に出入りしている弓具店でまとめて採寸・購入することが多い
道具代の目安弓以外で6万〜10万円ほど。学校の案内に金額が出ていることも多い
合宿・遠征の有無と費用夏合宿がある学校では、1回数万円かかる
練習日と下校時刻、長期休みの練習週5〜6日が多い。夏休みは朝から練習の学校もある
兼部できるか学校・部によって扱いが違う
弓・矢の保管と持ち帰り弓は長く、通学の荷物になる。学校で保管できるか
審査の受審料1年生の秋〜冬ごろから、審査料と合格時の登録料がかかる
入部説明会や顧問の先生の案内で確認したいこと

いちばん大事なのは、入学前に道具を先回りして買わないことです。ゆがけと矢は手の大きさや腕の長さに合わせる道具なので、顧問の先生か弓具店に見てもらってからでないと選べません。上衣の色や袴の種類を部で揃えている学校もあります。案内が出るのを待つのが、いちばん無駄がありません。

審査にかかるお金は弓道の段位一覧に、審査の流れと高校生の受け方は弓道の審査とはにまとめています。

弓道部のよくある質問

Q. 高校から始めても間に合いますか?

間に合います。中学校に弓道部が少ないため、高校の弓道部員の多くは高校から始めた人です。1年生の夏ごろには的前に立ち、秋〜冬に初段を目指す流れが多いです。

Q. 弓道部がある高校は、どうやって探せばいいですか?

「県名+高校 弓道部」で検索すると、県の高体連弓道専門部のサイトや大会結果、各校の部活動紹介が出てくることが多いです。手がかりになるのは、専門部のサイトの加盟校一覧と、県総体・新人大会の結果です。大会結果に名前が出ている学校は、いま活動している可能性が高いと思います。

弓道部のある高校の数は県によってかなり違い、令和8年度の全国高体連弓道専門部の調査では、全国でいちばん多い愛知県で約120校、大阪府は26校でした。候補が見つかったら、男女どちらも部員がいるか(男子校・女子校や、部員が片方だけの学校もあります)、練習日や道場の様子を、学校説明会や見学で確かめておくと安心です。

Q. 運動が苦手でも大丈夫ですか?

大丈夫な部活です。走る速さや体格より、技術と集中力が大事な競技です。ただ、弓を引くための体幹トレーニングや筋トレは多くの学校で行われています。

Q. 弓道部に入ると痩せますか?

痩せることを目的にする部活ではありません。走り回る競技ではないので、運動量だけで見ればほかの運動部より少なめです。一方で、体幹トレーニングや、背筋を伸ばして立つ・座る練習は毎日のようにあるので、姿勢が良くなったと感じる人は多いようです。

Q. 大学でも続けられますか?

続けられます。多くの大学に弓道部やサークルがあり、大学から始める人もいます。高校で初段・弐段を取っておけば、大学でも続けやすいと思います。

Q. 大人になってからでも始められますか?

始められます。わたし自身、大人になってから地域の初心者教室で始めました。教室には高校生から年配の人までいて、年代の違う人と同じ道場で稽古しています。大人の始め方は大人から弓道を始めるにはにまとめました。

まとめ|弓道部は、高校からみんなで始める部活

弓道部は、部員の多くが高校から始める部活です。最初の数か月はゴム弓や素引きで形を作り、的前に立つのは7月ごろ、1年生の秋〜冬に初段を目指すのがよくある流れ。道具代は弓以外で6万〜10万円ほどで、弓は学校のものを借りるのが一般的です。

すぐに結果が出る競技ではありませんが、同じ動作をコツコツ繰り返し、少しずつ形が整っていくのを楽しめる人には合う部活だと思います。保護者の方は、道具を先回りして買わず、顧問の先生の案内を待ってください。

電車で弓を抱えた学生を見かけたら、きっとその子も、ゴム弓の時期を越えてきたんだろうな、と今は思います。

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この記事を書いた人

大人になってから弓道を始めた初心者です。以前は抜刀の教室に通っていました。道具の選び方も作法も、はじめは何もわからず調べる毎日。同じところでつまずく人のために、調べてわかったことを一つずつ整理しています。

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