弓道の矢をオーダーメイドする方法|選び方・相場・納期

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弓具店のオーダー画面を開くと、シャフトの色、羽根の柄、矧糸(はぎいと)、和紙巻き、毛引き、筈(はず)の色……と、選ぶ項目がずらりと並びます。

教室で道具の名前が飛び交うのにも最初は戸惑いましたが、注文画面はそれ以上で、どれが矢の性能に関わって、どれが見た目だけの話なのか、ぱっと見では分からない人もいるのではないでしょうか?

先に筆者の立場を書いておくと、わたしはまだ自分の矢を持っておらず、教室で借りた矢を使っています。オーダーするのはこれから先の話です。なのでこの記事は、弓具店の注文ページや全日本弓道連盟(以下、全弓連)の競技規則を読み比べて整理して書いています。矢を注文する前に知っておきたい事実をまとめてみました。

調べた範囲での結論は、こうです。

矢の性能に関わるのは「シャフトの規格・矢尺・羽根の種類」の3つで、ここは先生と決める。それ以外の色や柄は好みで選んでいい。値段はジュラルミン×七面鳥なら既製の矢とほとんど変わらず、届くまでは1か月半〜2か月ほど。受注生産なので、注文後の取り消しはできないか、できても注文から数日以内に限られます。

この記事でわかること
  • オーダーで決める項目と、「性能に関わる部分」「見た目だけの部分」の分け方
  • 色やデザインに決まりはあるのか(全弓連の競技規則)
  • オーダーの相場と納期【2026年10月時点】
  • 頼み方の4つの選択肢と、注文前に確かめること
目次

弓道の矢のオーダーメイドとは|既製の矢と何が違う?

もともと矢は「矢尺で切って作る」もの

弓道の矢は、引く人の体に合わせて長さ(矢尺)を決め、その長さに切ってから矢尻を入れます。棚から取ってそのまま使える既製品というより、既製の矢も半分はオーダーのようなもので、ネットで買うときも注文時に矢尺を指定するのが普通です。

オーダーで変わるのは「組み合わせの自由」

違いが出るのは、組み合わせを自分で決められるところです。既製の矢は「この羽根に、この糸、このシャフト」とセットで決まっていますが、オーダーでは部品を一つずつ選びます。本数も、6本組を基本に、4本・8本・12本などから選べる店があります。

素材(ジュラルミン・カーボン・竹)や羽根の種類、矢尺の測り方といった基本は弓道の矢の種類と値段|素材・羽根・長さの選び方にまとめています。この記事では、その先の「オーダーでどう選ぶか」に話を絞ります。

オーダーで決める項目|「性能に関わる部分」と「見た目だけの部分」

注文ページの項目は、店によって10を超えます。ただ、並べてみると性格がはっきり分かれます。

弓道の矢のオーダー項目を、性能に関わる部分と見た目だけの部分に色分けした図
項目決めること性能への影響決め方
シャフトの規格太さ・重さ(1913・2015など)あり引いている弓の強さに合わせて、先生・弓具店と
矢尺矢の長さあり(安全にも関わる)先生か弓具店に測ってもらう。ネットで頼むなら自分で測り、数字を先生に確認
羽根の種類七面鳥・黒手羽など耐久性と値段予算と使い方で。初めは七面鳥が定番
矢尻・インサート先端の金具と重さあり(重さ・釣り合い)標準のままでよい。変えるなら相談
シャフトの色黒・茶・グレー・シルバーなどなし好み
羽根の柄・染め単色・染め分け・プリントなし好み
矧糸/和紙巻き羽根の前後に巻く糸か和紙なし好み
毛引き・筈の色糸の縁の線、弦をかける部分の色なし好み
名入れ・刻印名前や文字なし取り違え防止にも
注文ページの主な項目(項目の名前や選べる範囲は店によって違います)

先生と決める3つ|シャフトの規格・矢尺・羽根の種類

オーダーで失敗が起きるとすれば、色ではなくこの3つだと思います。

シャフトの規格は、いま引いている弓の強さで決まります。弓の強さに合わない規格を選ぶと、矢がまっすぐ飛ばない原因になります。弓の強さの目安は弓道の弓の値段と種類でも触れています。

矢尺は、短すぎる矢が事故につながるので、なんとなくで決めてはいけない項目です。

羽根の種類は飛び方より耐久性と値段に効く部分で、鷲や鷹の羽根には全弓連の決まり(出どころの証明)もあります。

どれも矢の記事で詳しく書いたので、ここでは「自分で決めず、先生か弓具店と決める」とだけ覚えておけば十分です。

見た目を決める部品の名前

残りは見た目の話です。注文ページで迷いやすい名前だけ、短く整理しておきます。

  • 矧糸(はぎいと)と和紙巻き:羽根の前後でシャフトに巻く部分。単色の糸か、柄の入った和紙かを選びます。見た注文ページの多くは、どちらか一方を選ぶ形でした
  • 毛引き:矧糸の上下に引く細い線。糸の色と合わせると全体がまとまって見えます
  • 筈の色:弦をかける末端の部品。白・黒・クリア・赤・青などから選べる店が多いです
  • 羽根の柄:単色の染め、先黒・元黒などの染め分け、和柄のプリント、手描きの染めまで幅があります
  • 名入れ・刻印:シャフトに名前などを入れる加工。ジュラルミンのシャフトだけ対応という店もあります
白と茶の羽根に緑の矧糸を巻いた弓道の矢のアップ

矢尻やインサートで重さも変えられるが、初めは標準でいい

店によっては、矢尻の素材や重さ、シャフトの中に入れる部品(インサート)を選んで、重さや釣り合いを調整できます。これは見た目ではなく飛び方に関わる部分です。何を変えたいのかがはっきりしているならともかく、初めてのオーダーなら標準のままで問題ありません。

色・デザインの決め方|決まりはある?何を基準に選ぶ?

「おしゃれな矢にしたいけど、派手すぎて怒られないか」。オーダーを考える人がいちばん気にするのはここかもしれません。規則と、経験者の声の両方から整理します。

色に決まった意味はない。規則は「伝統的な色・柄が望ましい」

全弓連の弓道競技規則では、弓具の規定(第20条)の中で、弓や箆(の)、羽根などの色について「伝統的な色・柄が望ましく、けばけばしくないものとしたい」と書かれています。特定の色を禁じる決まりはなく、「望ましい」という書き方です。「赤は◯◯の意味」のような、色ごとの決まった意味も見つかりませんでした。

一方で、形や仕組みにはきちんと決まりがあります。たとえば羽根は鳥の羽根を3枚使うこと、近的の矢の羽根の長さは13〜15cmであること、筈に蛍光や発光などの機能を持たせないこと、引き込む位置の目印になるようなものを付けないこと。弓具店のオーダーは、こうした決まりの範囲で作られています。気になるのは、柄や色そのものより「目印に見えるような加工をしないか」くらいだと思います。

実際に選ぶときに考えること

規則の外で、経験者の声を見ていくと、色選びで意識されているのはだいたい次のようなことでした。

  • 周りと取り違えない:部活や教室では同じような色の矢が並びます。人とかぶらない色や、名入れが役に立ちます
  • 審査や大会では落ち着いた配色が無難:規則で禁じられてはいませんが、こうした場を考えて、伝統的な色合いに寄せる人が多いようです
  • 白っぽい羽根は飛んでいく矢が見やすい:その代わり汚れは目立ちます
  • ジュラルミンのシャフトは、塗装が使ううちにはげる:はげたところから地の金属色が出てきます
色とりどりの羽根とシャフトの矢が矢立てに並んでいる様子

個人的には、最初の1組なら、毎日の稽古で目にしても飽きない色に寄せておくのがよさそうだと感じました。

「矢色(やいろ)」は色のことではない

ちなみに、「弓道 矢 色」などで調べると、色選びの話と一緒に矢色(やいろ)という言葉が出てきます。これは矢の色ではなく、放った矢が揺れながら飛んでいくことを指す弓道の用語です。射を見直すきっかけとして言われることが多い言葉です。

オーダーメイドの相場と納期【2026年10月時点】

次はお金と時間の話です。オーダーというと高そうに聞こえますが、組み合わせによっては既製の矢とほとんど変わりません。

組み合わせオーダーの目安既製の目安
ジュラルミン × 七面鳥約2.1万〜2.5万円約1.8万〜2.6万円
ジュラルミン × 黒手羽約4.2万〜5.7万円約4万〜4.5万円
カーボン × 七面鳥約2.4万〜6万円(シャフトで大きく違う)約3万円〜
カーボン × 黒手羽約4.6万〜7万円約5.5万〜9万円
竹矢店に相談・見積もり約4万〜10万円以上
6本組の目安(弓具店の通販価格・2026年10月時点)

ジュラルミン×七面鳥なら、既製とほぼ同じ値段

値段を大きく動かすのは羽根とシャフトで、色や糸はほとんど影響しません。

弓具店の通販では、ジュラルミン×七面鳥のフルオーダーが6本組で2万円台前半から。既製の6本組とほぼ同じ価格帯です。

そこに黒手羽を選ぶと倍ほどになり、カーボンのシャフトはさらに上がります。名入れや和紙巻き、ラメなどの加工は、店によって追加料金がかかります。

届くまで1か月半〜2か月ほど。審査や大会から逆算する

見た範囲の通販では、製作の納期は1か月半〜2か月ほどで、黒手羽などはもう少しかかる店もありました。入金を確認してから作り始める店もあるので、既製の矢のように数日では届きません。

審査や大会に合わせたいなら、2〜3か月前には注文を決めておくと安心です。

受注生産なので、注文後の変更・取り消しは基本的にできない

オーダーの矢は、注文を受けてから一本ずつ作ります。そのため、注文後の内容変更やキャンセル、返品はできないと明記している店が多いです。支払い方法が銀行振込とクレジットカードに限られ、入金を確認してから製作に入る店もあります。注文から5日以内なら変更・キャンセルを受ける注文システムもあり、扱いは店ごとに違うので、注文前に規約を一度読んでおくと安心です。

どこで頼む?オーダーの頼み方4つ

頼み方は、大きく分けて4つあります。どれがいいかは、色をどこまで試したいか、相談しながら決めたいかで変わります。

頼み方色を画面で試せるか向いている人
店頭で矢師・店員に相談店による(見本を見て決める)初めてのオーダー。矢尺や規格も一緒に確かめたい人
共通の注文システム「匠の矢」試せる。羽根約150種から選べる細かい装飾まで選びたい人。通っている弓具店が取り扱っているなら便利
弓具店独自のシミュレーター(小山弓具など)試せる決まった店で、画面を見ながら選びたい人
楽天市場のフルオーダー商品(山武弓具店)写真から選ぶ羽根の柄が決まっていて、選択肢をしぼって手早く頼みたい人
頼み方の比較

初めてなら、矢尺と規格を確かめてくれる店で

はじめてオーダーするなら、通っている教室や部で付き合いのある弓具店か、矢を作る職人(矢師)のいる店に相談するのが確実です。経験者さんの話を見ても、「矢師のいる店」「通いやすい店」を勧める声が多く、矢を作る工房の中にも、なじみの弓具店を通して注文するよう案内しているところがあります。弓具店の選び方は弓道具店の探し方|近くの店・通販・楽天の違いと選び方にまとめています。

匠の矢は、全国の複数の弓具店が使っている共通の注文システムで、画面上で羽根や糸、和紙の組み合わせを試してから、取り扱い店を選んで注文します。小山弓具のように、店独自のシミュレーターを用意しているところもあります。

ネットで頼む場合、矢尺は自分で測って入力することになります。山武弓具店の商品ページには測り方の図があり、正面を向いて腕を真横に伸ばし、のどの中心から中指の先までの長さに10〜15cmほどを足したものが、初心者の矢尺の目安として載っています。匠の矢の案内も同じ考え方で、初めて矢を買う人は長めにしておくよう勧めています。測り方自体はむずかしくありませんが、腕の伸ばし方や測る位置で数字が少し変わることもあります。測った矢尺と、規格を決める弓の強さは、入力する前に先生に一度確認してもらうと安心です。

楽天市場で頼む場合

楽天市場の山武弓具店では、羽根の柄ごとに商品ページが分かれていて、シャフトの色 → 規格 → 羽根 → 矧糸か和紙巻き → 筈の色 → 矢尺 の順に選んでいく形です。羽根の柄が決まっていれば、迷う項目は多くありません。

ジュラルミン×七面鳥のフルオーダー矢(6本組)

シャフトの色・羽根の柄・矧糸・筈の色を選んで作る受注生産品です。矢尺と弓の強さは先生に確認してから。注文後の変更・キャンセルはできません。

オーダーする前に確かめること|初心者は急がなくていい

2組目、3組目の人には言うまでもないことかもしれませんが、注文の前に確かめておきたいことを並べておきます。

  • 矢束・矢尺が落ち着いているか:始めて間もないうちは、射が変わって矢尺も変わることがあります
  • いま引いている弓の強さ:シャフトの規格がこれで決まります。借りている弓なら先生に聞けば分かります
  • 何本組にするか:6本組が基本の店が多く、2本・4本などで頼める店もあります
  • いつまでに必要か:届くまで1か月半〜2か月ほど。審査や大会の日から逆算します
  • 部や教室での決まり:部で矢をそろえることもあるので、学生は先輩や顧問に一度確認を

矢と一緒に、持ち運び用の矢筒もまだなら考えておくといいと思います。矢筒の長さや太さの選び方は弓道の矢筒の選び方|長さ・入る本数・おしゃれな柄と値段にまとめています。

最初の1組は既製でもいい。こだわるならオーダーでも損はない

矢の記事では、最初の1組は「ジュラルミン×七面鳥の6本組、矢尺は測ってもらう」がほぼ決まりだと書きました。この結論はオーダーでも変わりません。矢尺がまだ変わりそうなうちは、凝ったオーダーをしても作り直しになるかもしれないので、急ぐ理由はありません。

一方で、同じジュラルミン×七面鳥なら値段は既製とほぼ同じです。色や柄にこだわりたい人が、最初からオーダーで作っても損はしないと思います。どちらにするかより、矢尺と規格を先生に確かめることのほうがずっと大事です。

2組目以降でよく見かける選び方

調べた範囲では、2組目以降のオーダーは「いまの矢と同じ規格で、色や柄だけ変える」「羽根を黒手羽にする」「シャフトをカーボンにする」のどれかに当てはまるものが多いようでした。規格を変えるときは、弓を替えたときか、先生に勧められたときに。

弓道の矢のオーダーメイドでよくある質問

Q. シミュレーターは注文しなくても使えますか?

使えます。画面上で組み合わせを試すだけなら費用はかかりません。ただ、画面の色は実物と少し違うことがあると、見た店はどこも断り書きを入れています。微妙な色の差が気になるなら、店頭で見本を見るのが確実です。

Q. 1本だけ折れたら、同じデザインで作り直せますか?

まとめて買った矢のうち、直せなくなった矢を1本単位で買い足せる工房があります。ただし、限定の羽根や和紙は品切れになることもあるので、同じ柄がいつまでも作れるとは限りません。注文した内容(羽根・糸の番号など)は控えておくと、相談がスムーズです。

Q. 「矢色が出る」とはどういう意味ですか?

放った矢が揺れながら飛んでいくことです。矢の色とは関係なく、矢の飛び方を指す言葉です。

Q. 審査で派手な矢を使うと不利になりますか?

審査の規程に、矢の色で不合格になるという決まりは見当たりませんでした。ただ、競技規則には「伝統的な色・柄が望ましい」とあるので、審査用には落ち着いた配色を選ぶ人が多いようです。

Q. 矢に名前を入れられますか?

入れられる店があります。ジュラルミンのシャフトだけ対応という店もあります。部活や教室で矢を取り違えないためにも役立ちます。

まとめ|性能は先生と、見た目は自由に。納期から逆算して注文する

矢のオーダーは、項目が多くて身構えてしまいますが、性能に関わるのはシャフトの規格・矢尺・羽根の種類の3つだけでした。そこを先生と決めてしまえば、あとは好きな色と柄を選ぶ楽しい時間です。

値段はジュラルミン×七面鳥なら既製とほぼ同じ、届くまでは1か月半〜2か月ほど、注文後はほぼ取り消せない。この3点を押さえておけば、大きく失敗することはないと思います。わたしも自分の1組を作るときは、まず矢尺を測ってもらうところから始めるつもりです。

矢の素材や羽根の違いをもう一度確かめたい人は弓道の矢の種類と値段を、道具全体でいくらかかるかは弓道にかかる費用を見てみてください。

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この記事を書いた人

大人になってから弓道を始めた初心者です。以前は抜刀の教室に通っていました。道具の選び方も作法も、はじめは何もわからず調べる毎日。同じところでつまずく人のために、調べてわかったことを一つずつ整理しています。

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