弓道とアーチェリーの違い|難しさ・費用・始め方まで比較

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弓を引く習い事をしてみたい。「弓道とアーチェリー、どっちにしよう」と悩む方もいるかもしれません。どちらも弓で的を射るのは同じ。でも道具の見た目はずいぶん違うし、どちらが難しいのか、いくらかかるのかもよく分かりません。

そもそも違いを明確に説明することはできますか?

わたしは大人になってから弓道を始めたばかりで、アーチェリーを習った経験はありません。なので、この記事は両方をやった人の体験談ではなく、両方の連盟の規則や、教室・弓具店が公開している資料を読み比べて整理したものです。

先に結論を書くと、違いは大きく3つです。日本の武道か、西洋発祥の競技スポーツか。自分の感覚で狙うか、照準器で狙うか。当たったかどうかで競うか、中心からの近さ(得点)で競うか。どちらが難しいかは、「どんな難しさを楽しめるか」で答えが変わります。

距離や的の大きさは、全日本弓道連盟と、アーチェリーの国際団体である世界アーチェリー連盟の資料をもとにしています。

この記事でわかること
  • 弓道とアーチェリーの違い(弓・距離・的・勝ち負けの決め方)の一覧
  • 和弓と洋弓で、弓の形・持ち方・引き方がどう違うか
  • 「どちらが難しいか」を、3つの難しさに分けて比べた結果
  • 費用・競技人口・習える場所の違い
  • どちらが自分に向いているかの判断表
目次

弓道とアーチェリーの違い|ひと目でわかる比較表

まずは全体を表にします。アーチェリーにはいくつか種目がありますが、ここではオリンピックで行われている「リカーブ」と比べています。

弓道(和弓)アーチェリー(洋弓・リカーブ)
成り立ち日本の弓術から生まれた武道西洋発祥の競技スポーツ
弓約221cm(並寸)。上下非対称で、握りが下寄り約165〜180cm。上下対称で、中央を握る
狙い方照準器なし。体の位置と感覚で狙うサイト(照準器)やスタビライザーを付けられる
距離近的28m/遠的60mオリンピックは70m(屋内18mなどもある)
的近的は直径36cmの霞的直径122cm。中心の10点から外側の1点まで
勝ち負け近的は当たった本数で競う的中制が基本。遠的は得点制が多い中心からの近さの得点の合計。オリンピックはセット制
服装弓道着(上衣・袴・帯・足袋)動きやすいスポーツウェア
オリンピック種目ではない(国民スポーツ大会の正式競技)正式競技(国民スポーツ大会でも行われる)
両連盟の資料をもとに整理

色々と違いがありますね。数字で見ると、特に目を引くのは的の大きさもだと思います。弓道の近的は28m先の直径36cm。アーチェリーは70m先ですが、的は直径122cmあります。距離も的も、比べる前提がそもそも違うんですよね。

いちばんの違いは「何を競うか」

アーチェリーは、矢が中心にどれだけ近いかを点数にして競います。10点と9点の差を詰めていく競技なので、道具の調整も含めて、精度を上げることがそのまま強さになります。

弓道の近的の試合は、多くが当たった本数で競います。的のどこに当たっても1本は1本で、中心に当てても縁に当てても同じです。そのかわり、弓道には試合とは別に段位の審査があり、そこでは的中だけでなく、射の形や入場から退場までの立ち居振る舞い(体配)まで見られます。当てることと、正しく美しく射ることの両方を求めるのが、弓道が「武道」と呼ばれる理由のひとつです。

的の大きさや距離、当たりの判定など試合の決まりは弓道のルール|的までの距離28m・的の大きさ・勝ち負けの決め方に詳しく書きました。

弓道そのものの全体像は弓道とは|歴史・ルール・アーチェリーとの違い・始め方まで初心者向け完全ガイドにまとめています。

和弓と洋弓の違い|弓の形・持ち方・引き方

弓道で使う弓を「和弓」、アーチェリーの弓を「洋弓」と呼びます。並べてみると、同じ弓とは思えないくらい形が違います。

弓の長さと形

和弓は標準的な長さ(並寸)で約221cm。身長よりずっと長い弓で、握る位置が真ん中ではなく、下から3分の1ほどのところにあります。上が長く下が短い、上下非対称の形です。素材はグラス・カーボン・竹で、一本の弓として作られています。

洋弓(リカーブ)は約165〜180cmで、上下対称。真ん中のハンドルを握り、上下に「リム」と呼ばれる板を取り付ける組み立て式です。ハンドルはアルミなどの金属製が主流です。

矢をつがえる側と、弦の引き方

意外と知られていないのが、矢をつがえる位置の違いです。和弓は弓の右側(体の外側)に矢をつがえ、洋弓は弓の左側に矢をつがえます(どちらも左手で弓を持つ場合)。

弦の引き方も違います。弓道では、右手にゆがけ(弽・かけ)という鹿革の手袋をはめ、親指を弦に掛けて引きます。アーチェリーは「タブ」という革を指に当て、人差し指・中指・薬指の3本で弦を引きます。

弓道着の袖とゆがけをはめた右手で弦を引いている様子

引き終わりの形も違います。アーチェリーは弦を引いた手をあごの下に付けて止めます。弓道は矢束(やつか)いっぱいまで引分けて、矢を口の高さにそろえ、弦が胸に付いた形で止めます。

照準器を使うか、使わないか

アーチェリーの弓には、サイト(照準器)、振動を抑えるスタビライザー、矢を載せるレストなど、精度を上げるための装備を付けられます。道具の改良と調整も、上達の一部です。

弓道では、照準器も目印も使いません。弓と的の重なり方を見て、自分の体の位置で狙います。矢を弓の右側につがえるので、そのままでは矢が右にそれやすく、離れの瞬間に弓が手の中でくるりと回る「弓返り(ゆがえり)」が起きるような握り方(手の内)を身につけることが、まっすぐ飛ばすための技術になっています。

形の違いを図にすると、こうなります。

和弓と洋弓の比較図(弓の長さ・握りの位置・矢をつがえる側、的までの距離と的の大きさ)

和弓の構造や素材をもっと詳しく知りたい人は和弓とは|長さ221cmの理由・構造・種類と洋弓との違いにまとめました。弓道の弓の選び方と値段は弓道の弓の値段と種類にまとめました。

弓道とアーチェリー、どちらが難しい?

たしかによく持たれる疑問かもしれませんが、ひと言では答えられません。調べていくうちに、「難しさ」には少なくとも3つの種類があって、弓道とアーチェリーで難しいところが違う、と分かってきました。

当てる難しさ|照準器のない弓道は、最初は当てるのが難しい

的に当てること自体は、照準器なしで28m先の36cmを狙う弓道のほうが、始めたばかりのうちは難しく感じやすいと思います。わたしも的前に立ち始めたところですが、思っていたよりまったく当たりません。姿勢や手の角度のわずかなズレが、的に届くころには大きなズレになるからです。

一方、アーチェリーは照準器で狙えるぶん、初心者でも的のどこかに当てるところまでは早いと言われます(やったことがないのでわかりません笑)。ただ、競技としては70m先の10点を狙い続ける世界なので、上のレベルで点数を伸ばす難しさはまた別にあります。

形をつくる難しさ|弓道は射法八節と礼法まで見られる

弓道には「射法八節」という、足踏みから残心まで8つの動作に分けた射の型があり、その型どおりに引けているかが問われます。さらに、道場への入り方、座り方、弓の持ち方といった礼法・体配も稽古の中身です。

わたしは昔に、抜刀の教室に通っていたので、礼法や作法に関してはなじみがあります。同じ武道ですのでつながっていると感じます。弓道も同じで、矢を射る前の所作にも、先生と初心者の差がいちばん出ます。ここを「面倒」と感じるか「面白い」と感じるかで、弓道の難しさの感じ方はかなり変わると思います。

上達の見えやすさ|点数のアーチェリー、的中と段位の弓道

アーチェリーは毎回の練習が点数で残るので、上達が数字で見えます。昨日より合計点が5点上がった、というのは分かりやすい手応えです。

弓道は、的中の数と、級・段位の審査で上達を確かめます。審査は年に何回か受ける機会があり、合格するたびに級や段が上がっていきます。数字の伸びより、節目ごとに認められていく感覚に近いかもしれません。

結局、「どちらが簡単か」ではなく「どんな難しさなら続けられるか」で選ぶのがいいと思います。

費用・競技人口・始め方の違い

始めるとなると、お金と通える場所が気になります。どちらも、最初は教室やクラブの道具を借りて始めるのが一般的です。

調べて整理してみました。

弓道アーチェリー
最初に習う場所地域の弓道連盟・自治体の初心者教室アーチェリー協会・クラブの初心者教室
初心者教室の費用2,000〜1万円ほど(全5〜20回)無料〜5,000円ほど(全3〜12回)
最初に借りられるもの弓・矢・ゆがけ(教室による)弓具一式(協会・クラブによる)
自分で道具をそろえると弓以外の一式で約5.5万〜8万円。弓は約3万〜5万円台から入門向けの競技用一式で10万〜15万円ほど
服装弓道着(教室の間はジャージ等で可のことも)動きやすい服装
費用の目安(2026年10月時点)

自分の道具を全部そろえると、弓道は10万円前後、アーチェリーは10万〜15万円ほどからです。ただ、弓道は弓を借りたまま、弓道着やゆがけ、矢から順に買っていく人が多い一方、アーチェリーは弓具を一式そろえる買い方が中心で、専門店には入門用のセットもあります。弓道の費用の内訳は弓道にかかる費用で詳しく書きました。

競技人口は弓道のほうが多い

全日本弓道連盟の登録会員は約14万人(2025年3月時点)。そのうち半数ほどを高校生が占めています。一方、全日本アーチェリー連盟の登録者は約1万人(2024年度の調査)。登録している人の数で比べると、弓道のほうがずっと多いことになります。これは、私も知らなかったです。

人数が多いぶん、弓道は市区町村の体育館や武道館に弓道場があることが多く、地域の連盟や弓道会も各地にあります。アーチェリーは長い距離を射る広い射場が必要なので、練習場所は地域によってかなり差があります。家や職場から通える範囲に練習場所があるかは、両方とも先に調べておくのがおすすめです。

芝生のアーチェリー場に的が横一列に並んでいる様子

習う場所の探し方

弓道は、地域の弓道連盟や自治体が開く初心者教室が入口になります。1日だけの体験会や、予約サイトから申し込める体験施設もあります。探し方は大人から弓道を始めるにはと弓道体験ができる場所にまとめました。

アーチェリーは、市区町村のアーチェリー協会が開く初心者教室や1日体験が入口です。対象年齢は協会によって違い、小学校高学年から受け付けるところもあれば、15歳以上としているところもあります。

弓道とアーチェリー、どちらが向いている?

ここまでの違いを、迷っている理由ごとに整理しました。当てはまる行が多いほうから試してみるのがいいと思います。

こんな人合いやすいのは理由
点数で上達を確かめたいアーチェリー毎回の練習が得点で残り、伸びが数字で見える
礼法や所作も含めて身につけたい弓道立ち居振る舞いまで稽古の中身。姿勢や所作が整う
オリンピックを目指したいアーチェリーオリンピックの正式競技
段位という目標がほしい・年を取っても続けたい弓道級・段位の審査が節目になる。高齢になっても続けている人が多い
道具を調整・工夫するのが好きアーチェリー照準器や部品の調整も上達の一部
通える範囲に練習場所があるか両方調べる弓道場のほうが多い地域が多いが、近くにアーチェリー場がある地域もある
両方の連盟・協会と教室の公開資料をもとに整理

迷ったら、両方とも体験してみるのがいちばん早いでしょう。弓道は1日の体験会や体験施設があり、アーチェリーも各地の協会が1日体験を開いています。実際に弓を持ってみると、「こっちだ」という感覚は意外とはっきり出ると思います。

弓道とアーチェリーのよくある質問

Q. 威力が強いのは和弓と洋弓のどちらですか?

単純には比べられません。弓の強さは、同じ和弓・洋弓でも弓ごと、引く人ごとに違うからです。和弓の構造や特徴、威力や射程の数字の確かさは和弓とは|長さ221cmの理由・構造・種類と洋弓との違いにまとめました。

Q. 左利きでもできますか?

どちらもできます。弓道は利き手に関係なく、左手に弓・右手にゆがけで引くのが基本です。アーチェリーには左利き用の弓もあります。弓道の左利きの扱いは左利きでも弓道はできる?右で引く理由と利き目の注意にまとめています。

Q. アーチェリーから弓道へ(その逆も)転向できますか?

できますが、矢をつがえる側も、弦の引き方も、狙い方も違うので、基本は一から覚え直すことになります。弓を引く体の感覚や集中のしかたは、どちらにも生きると思います。

Q. 両方を続けることはできますか?

できます。ただ、矢をつがえる側も弦の引き方も違うので、最初はどちらか一方で基本を固めてからのほうが安心です。

Q. 大人から始めるならどちらがいいですか?

どちらも大人の初心者を受け入れている教室があります。弓道は高校から始める人が多い一方、社会人になってから始める人もいて、地域の初心者教室には幅広い年代が集まります。大人の始め方は大人から弓道を始めるにはにまとめました。

まとめ|違いを知ったら、まず弓を持ってみる

弓道とアーチェリーの違いは、武道か競技スポーツか、感覚で狙うか照準器で狙うか、的中で競うか得点で競うかの3つに集約されます。和弓は長く非対称で、矢を右側につがえて親指で引く。洋弓は対称で、矢を左側につがえて指で引く。道具の形からして、目指しているものが違います。

どちらが難しいかは、当てる難しさ・形をつくる難しさ・上達の見えやすさのどれを重く見るかで変わります。点数で伸びを確かめたいならアーチェリー、所作まで含めて自分を整えたいなら弓道、というのがひとつの目安です。

弓道が気になったら、まずは弓道体験ができる場所から、一度弓を持ってみてください。

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この記事を書いた人

大人になってから弓道を始めた初心者です。以前は抜刀の教室に通っていました。道具の選び方も作法も、はじめは何もわからず調べる毎日。同じところでつまずく人のために、調べてわかったことを一つずつ整理しています。

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