弓道を続けると決めたら、最初に揃えることが多いのが弓道着です。ところが弓具店のページを開くと、上衣だけでも通年用・夏用・冬用があり、袴は「24号」といった見慣れないサイズ表記も。男性用と女性用も分かれていて、何をどう選べばいいのか迷います。
先に結論を書くと、弓道着は「上衣・袴・帯・足袋」の4点(女性は胸当ても)で、セットなら1万2,000〜2万円ほど。初心者の最初の一式は、白い上衣に黒か紺のポリエステルの袴、という組み合わせでほぼ決まりです。迷うのはサイズなので、この記事ではそこを中心に書きます。
内容は、全日本弓道連盟(以下、全弓連)の案内と、弓具店各社のサイズ・素材の説明をもとに整理しました。
- 弓道着は何を揃えればいいか、男性用と女性用の違い
- 体験や初心者教室には何を着ていけばいいか
- 上衣・袴のサイズの決め方と、素材・色の選び方
- 帯・足袋・胸当ての選び方
- 弓道着の値段の相場(2026年10月時点)と、セットで買うかどうか
弓道着とは|上衣・袴・帯・足袋の4点
弓道の稽古で着るのは、白い筒袖の上衣(道着)、黒か紺の袴、袴の下に締める帯、白い足袋の4点です。全弓連も、弓道の服装を「弓道衣(白筒袖)と袴、白足袋」と案内しています。女性はこれに、胸を保護する胸当てが加わります。

| 品目 | どんなもの | 値段の目安 |
|---|---|---|
| 上衣(道着) | 白の筒袖。袂(たもと)のない袖で、弦が引っかかりにくい | 3,600〜4,400円 |
| 袴 | 黒か紺。足さばきのよい馬乗り型が基本 | 6,000〜1万円 |
| 帯 | 角帯。上衣の上から締め、袴を支える | 1,700〜2,600円 |
| 足袋 | 白足袋 | 1,100〜1,500円 |
| 胸当て | 弦が胸や上衣に当たるのを防ぐ。女性は用意する | 600〜1,100円 |
男性用と女性用の違い
違いは大きく2つです。上衣は、男性用は脇が開いていて、女性用は脇が閉じています。袴は、男性用には後ろに「腰板」という硬い板が付いていて、女性用には付いていません。締める位置も違い、男性は腰骨からへその下あたり、女性はウエストのくびれの位置で締めます。
上衣については、弓具店の説明でも、男性用・女性用を必ずそのとおりに着なければいけないわけではない、とされています。袴は男女で形と丈の測り方が違うので、表示どおりに選ぶのが無難です。女性の弓道着については、別の記事で詳しく書いています。
審査で着る和服(着物)は、ずっと先の話
弓道の写真で、着物姿で弓を引いている人を見たことがあるかもしれません。全弓連の審査規程では、和服が必要になるのは五段以上と称号(錬士・教士)の審査からで、それ以外は弓道着で受けられます。始めたばかりの人が買うのは、この記事で扱う稽古用の弓道着だけで大丈夫です。
弓道着を買う前に|体験・初心者教室の服装
「弓道着がないと体験に行けないのでは」と思うかもしれませんが、逆です。体験や初心者教室の段階では、弓道着は要らない所もあります。全弓連も、体験のときは「ジャージーや靴下など、動きやすい服装」でよいと案内しています。
各地の初心者教室の募集要項を見ても、指定はだいたい共通しています。
- 運動のできる動きやすい服装
- 上着はボタンや胸ポケット、飾りのないもの(弦が引っかかるため)
- 靴下か足袋(道場は素足で上がれないところが多い)
一方で体験時から弓道着でないと道場には入れない所もあり場所によって違いますので、訪れる体験場所の公式案内を確認してください。
弓道着をいつ買うかは、教室や道場によって違います。数か月たってからでいいところもあれば、早めに揃えるよう言われるところもあるので、先生の案内を待ってから買うのがいちばん確実です。弓道部の場合は、部で色や購入先をそろえていることが多いので、入部後の案内に従ってください。
弓道着の下に着るものは、無地のTシャツや肌着で十分です。襟のあるものやハイネックは、上衣の襟元から見えてしまうので避けます。冬は長袖のインナーを着る人も多いです。
上衣(道着)の選び方

サイズ:着丈と袖の長さで決める
上衣のS・M・Lは、ふだんの洋服のサイズとは合わないことがあります。弓具店のサイズ表(身長と体格の目安)で当たりをつけたうえで、着丈と袖の長さで確認します。袖は、腕を伸ばしたときに肘にかかるかかからないかくらいが目安。弓道の上衣は洋服より大きめの作りで、大きすぎると着くずれしやすいので、迷ったら小さいほうが無難です。
素材:通年用の綿ポリ混紡が定番
最初の1枚は、綿とポリエステルの混紡(通年用)が定番です。綿100%より薄手でシワになりにくく、家庭の洗濯機で洗えます。僕もアイロンをかけずに使っていて、それでもあまりシワにならないので便利です。ほかに、汗が乾きやすい夏用や、裏地の付いた冬用もあります。稽古のたびに洗うものなので、続けるうちに洗い替えを1枚足す人が多いです。
色は白。黒道着(黒い上衣)は所属先に確認してから
上衣は白が基本です。弓具店には黒や紺の上衣も並んでいますが、全弓連は弓道衣を「白筒袖」と案内していて、全日本選手権などの大会も白と決められています。黒い上衣をふだんの稽古で着てよいかは道場や学校によるので、買う前に先生に聞いてください。最初の1枚は白を選んでおけば間違いありません。
袴の選び方

サイズ:「号数」は紐の下からの長さ
袴の「24号」といった数字は、紐下(ひもした)の長さを表しています。前の紐の下から裾までの長さのことで、もとは尺・寸の単位(24号=二尺四寸)。1号ちがうと約3.8cm変わります。
測り方は、帯を締める位置(男性は腰骨〜へその下、女性はウエスト)から、くるぶしまで。この長さに合う号数を選びます。身長から選ぶ場合の目安は次のとおりです。
| 号数 | 紐下の長さ | 男性の身長の目安 | 女性の身長の目安 |
|---|---|---|---|
| 22号 | 約83cm | 160〜165cm | 145〜150cm |
| 23号 | 約87cm | 165〜170cm | 150〜155cm |
| 24号 | 約90cm | 170〜175cm | 155〜160cm |
| 25号 | 約94cm | 175〜180cm | 160〜165cm |
| 26号 | 約98cm | 180〜185cm | 165〜170cm |
女性のほうが同じ身長でも号数が大きいのは、締める位置が高いぶん、紐下が長くなるからです。身長の目安は店によって1号ほどずれるので、買う店のサイズ表を必ず見て、できれば紐下を実際に測ってください。成長期の中高生は、少し長めを買って裾を折って縫いとめておく、という方法を弓具店が紹介しています。
素材:ポリエステルの「奥ヒダステッチ入り」が扱いやすい
最初の袴はポリエステル100%が定番です。安くて丈夫で、シワになりにくい。商品名に「奥ヒダステッチ」とあるものは、ヒダの内側の折り目にミシンがかけてあり、折り目がそろいやすく、たたみやすくなっています。袴はヒダをきれいに保つのがいちばんの手間なので、初心者にはこの加工があるものが楽です。
袴のたたみ方や、家で洗うときの干し方は弓道着・袴のたたみ方と洗濯|ヒダを崩さないコツにまとめています。
色と形:黒か紺の馬乗り袴
色は黒か紺。高校や大学の弓道部では、部でそろえた色の袴を着るところもあります。形は、中がズボンのように分かれた馬乗り袴が基本です。女性用にはスカート型の行灯(あんどん)袴も売られていますが、最初の1枚は馬乗り型を選ぶのが一般的です。
なお、剣道や居合の道着・袴は、生地の厚さや色が弓道のものと違うことがあります。ほかの武道の経験があって手持ちの上衣や袴を使いたい場合は、そのまま使えるかどうかを先生に確認してください。
帯・足袋・胸当ての選び方
帯は、男女とも角帯を使います。幅は7.5〜9.5cmほど、長さは約4mが標準で、女性は長ければ切って使うか、短め(約3m)のものを選びます。袴を着けると大部分が隠れ、色にもとくに決まりはありません。最初はセットに付いてくる角帯で十分です。角帯・女性用の帯・伊達締めの違いや値段は弓道の帯の選び方にまとめています。
足袋は白。サイズはcm表記の0.5cm刻み。靴と同じサイズだと大きいことがあり、0.5〜1cm小さめが目安です。綿の足袋は洗うと少し縮みます。道場ではすり足で歩き、座ると足の裏が見えるので、洗い替えを含めて2足以上あると安心です。こはぜの枚数や素材の選び方、値段は弓道の足袋の選び方にまとめています。
胸当ては、矢を放ったときに弦が胸や上衣をこするのを防ぐものです。全弓連は女性に用意するよう案内していて、女性用の弓道着セットにはたいてい含まれています。選び方や向き・紐の付け方は弓道の胸当ての選び方と付け方|向き・紐の結び方・男性は?にまとめています。
上衣・帯・袴の着る順番や、男女で違う紐の結び方は弓道着・袴の着方|男女別の手順と帯の結び方にまとめています。
弓道着の値段の相場とセット
参考までに、上衣・袴・帯・足袋をひとつずつ買うと、合計で1万2,000〜1万8,500円ほど。弓具店が組んでいる初心者向けのセットは、男性用(5点)が12,200〜18,700円、女性用(胸当て付き)が12,500〜20,900円でした。
値段の差は、生地や袴の加工、付属品(持ち運び用の袋が付くもの、ゴム弓まで入ったものもあります)によるものです。
最初の一式はセットが楽
初心者にはセットをおすすめします。同じ店のばら売りより数百円安いことが多く、何より「上衣はこのサイズ、袴はこの号数」と、身長に合わせた組み合わせを店が案内してくれるからです。上衣と袴のサイズを別々に指定できるセットを選べば、体格に合わせた調整もできます。
僕が調べた限りでは、楽天市場店と弓具店の自社通販で、弓道着セットの値段はほとんど変わりませんでした。
弓道着の初心者セット(上衣・袴・帯・足袋)
翠山弓具店のセットは、男性用5点が14,740円、女性用6点(胸当て付き)が15,400円です(2026年10月時点・楽天市場・送料無料)。上衣と袴のサイズは、商品ページのサイズ表で確認してください。
買う前に確認する3つのこと
- 色や購入先の指定がないか:道場・学校によっては、袴の色や名前の刺しゅうをそろえています
- 袴の紐下の長さ:身長だけで決めず、帯の位置からくるぶしまでを測る
- サイズ交換の条件:名前の刺しゅうを入れたり、袴のしつけ糸を外したりすると交換できなくなる店が多いので、その前に試着する
弓道着以外も含めた道具全体の費用は、こちらの記事にまとめています。
わたしの場合:以前の武道の稽古着を使っています
ここまで書いておいてなんですが、わたし自身は、弓道着セットははまだ買っていません。以前通っていた抜刀の教室で使っていた上衣と袴、帯、足袋が使えるので、そのまま着ています。動きやすく、いまのところ困っていないので、買い直すのは先でいいかなと思っています。
久しぶりに袴の紐を締めたときは、「本当にまた武道を始めたんだな」と背筋が伸びました。弓道着は、稽古の気持ちに切り替えるスイッチでもあると思います。これから揃える方は、上に書いたとおり、白の上衣とポリエステルの袴のセットから始めれば十分です。
弓道着についてよくある質問
Q. 弓道着はどこで買えますか?
弓具店の店頭か、弓具店の通販(自社サイト・楽天市場など)で買えます。近くに弓具店があれば、店頭で試着して選ぶのがいちばん確実です。弓道部では、学校に来る弓具店でまとめて採寸・購入することもあります。
Q. ジャージで稽古してもいいですか?
体験や初心者教室のうちは、動きやすい服装で問題ありません(道場のルールでOKなら)。弓道部でも、ふだんの練習は体操服という学校があります。弓道着に切り替える時期は、先生の案内に従ってください。
Q. 弓道着は洗濯機で洗えますか?
上衣は家庭の洗濯機で洗えます。ポリエステルの袴は、ヒダをクリップなどで留めてたたみ、洗濯ネットに入れて洗い、脱水は短くして陰干しするのが、弓具店や弓道衣メーカーのすすめる方法です。洗濯表示は商品ごとに確認してください。手順は弓道着・袴のたたみ方と洗濯にまとめています。
Q. 審査では何を着ますか?
四段までの審査は、ふだんの弓道着で受けられます(白の上衣・袴・白足袋)。和服が必要になるのは五段以上と称号の審査です。
まとめ|白の上衣とポリエステルの袴、サイズは紐下で決める
弓道着は、上衣・袴・帯・足袋の4点(女性は胸当ても)。最初の一式は、白の上衣と黒か紺のポリエステルの袴のセットで、1万2,000〜2万円ほどです。上衣は着丈と袖の長さ、袴は紐下の長さで選びます。
体験や初心者教室のあいだは動きやすい服装で足りるので、あわてて買う必要はありません。先生から「そろそろ」と言われたら、色や購入先の指定を確認して、サイズ表を見ながら選んでください。
弓道着の初心者セット(上衣・袴・帯・足袋)
一式まとまったセットなら、サイズの組み合わせで迷わずに揃えられます。男性用5点 14,740円/女性用6点(胸当て付き)15,400円(2026年10月時点・楽天市場・翠山弓具店)。
