弓道審査の筆記(学科)の書き方|問題例と答案の組み立て方

当ページのリンクには広告が含まれています。

審査の申込書と一緒に「学科のレポート」も出してください、と言われて手が止まった人は多いと思います。何を書けばいいのか、どのくらい書けばいいのか。ネットで「模範解答」を探してみると、出てくる問題が自分の要項に書かれている問題と違っていたりします。

わたしは大人になってから弓道を始めて、まだ段位を持っていません。これから審査を考える人と同じ目線で、全弓連が公表している問題と、各地の連盟が出している要項や答案用紙の注意書きを並べて調べてみました。

なので、ここに書くのは受けた人の体験談ではなく、公表されている資料を読み比べてわかったことです。答案の中身は、最後は先生に見てもらうのがいちばん確実だと思っています。

先に結論を書くと、問題は全弓連が年度ごとに公表していて、答えるのは自分の審査会で指定された問題だけです。射法八節などの問題は教本に沿って要約し、考えを述べる問題は「結論→理由→まとめ」で組み立てます。そして、その前に答案用紙のルールで落とされないことが大事です。

この記事は、全日本弓道連盟(以下、全弓連)の令和8年度版 学科試験問題と、各県の弓道連盟が出している要項・答案用紙の注意書きをもとに整理しました。なお、要項によって「筆記」「学科」「レポート」と呼び方が違いますが、どれも同じものを指しています。

この記事でわかること
  • 弓道の審査の学科の配点と合格ライン
  • 令和8年度の初段・弐段・参段の問題で何を聞かれるか
  • 答案用紙のルール(自筆・問題文・訂正のしかたなど)
  • 射法八節の問題と、考えを述べる問題の答案の組み立て方
  • 落とされやすい答案と、提出までの段取り
目次

弓道審査の筆記(学科)とは|配点と合格ライン

弓道の審査は、実際に矢を射る「行射」と、記述で答える「学科」の両方で判定されます。四段以下なら、行射で審査員の票の5割以上を取り、さらに学科で60点以上を取ると合格です。行射がよくても、学科が足りなければ合格にはなりません。

学科は100点満点で、問題は2つのグループに分かれています。

受審する段A群(射法・射技・体配など)B群(弓道への考え・修練の姿勢)
無指定・初段2問(各25点)1問(50点)
弐段以上1問(50点)1問(50点)
全弓連「令和8年度版 地方審査会・連合審査会 学科試験問題」より

A群は弓道の知識を問う問題、B群は自分の考えを述べる問題です。

学科があるかどうかは、受ける区分で決まります。全弓連の審査規程では、こう定められています。

  • 初段〜六段:行射と学科の総合成績で合否が決まる
  • 級位を指定して受ける:行射の成績だけで一級〜五級が決まる(学科はない)
  • 無指定:行射と学科の総合成績で初段か級位が決まる。初段になるには学科の合格が必要

はじめての人が受ける「無指定」は、結果が級位になる場合も含めて学科を出します。段位の仕組みや審査会の種類は弓道の段位一覧に、初段の行射で見られることは弓道初段の合格基準と審査内容にまとめています。

いまは「申込と一緒にレポートで出す」形がほとんど

「筆記試験」と聞くと会場で書く試験を想像しますが、調べた範囲では、申込書と一緒にレポートとして出す形がほとんどでした。福岡地区の要項のように「教本を参考に記述可」とはっきり書いている連盟もあります。

逆に言えば、締切までに答案を出さないと受けられません。埼玉県では学科の答案を出さなかった人は棄権とみなす、としています。申込から当日までの流れは弓道の審査とは|申込〜合格発表までの流れと持ち物で整理しました。

令和8年度の学科試験問題|初段・弐段・参段で何を聞かれるか

全弓連は、審査を公正・公平にするために、地方審査と連合審査の学科の問題を毎年度あらかじめ公表しています。令和8年度版(令和8年1月30日付)の初段〜参段のテーマをまとめると、こうなります。

段A群のテーマB群のテーマ
無指定・初段①射法八節を順番に書く
②射法八節から1つを選んで説明する
弓道を始めた動機/弓道を学んで得たこと/弓道を通じて学びたいこと
弐段足踏み・胴造り/弓構え・打起し/引分け・会/離れ・残心で、自分が注意していること何をめざして稽古しているか/修練して良かったこと/どんな気持ちで学んでいるか
参段詰合い・伸合いが大切な理由/引分けで注意すべき点/巻藁練習の効用/目づかい弓道に対する考え/日々心掛けていること/仲間の安全のための心掛け/修練の苦労と取り組み
全弓連「令和8年度版 学科試験問題」をもとに要約(問題文そのものは公表資料で確認してください)

初段のA群は2問とも射法八節の問題で、①は八つの名前を順番に書くだけ、②は八つのうち自分で1つを選んで説明する形です。B群は3つの候補のうち1問に答えますが、どれに答えるかは審査会が指定します。

四段・五段になると、A群は「五重十文字」「手の内の重要性」「基本体型」など、B群は「審査を受ける意義」「ハラスメント防止に向けて心掛けていること」などに変わります。初段・弐段を受ける段階では、まず自分の段の欄だけ見れば十分です。

全部準備しなくていい|答える問題は審査会ごとに指定される

一覧にある問題をすべて準備する必要はありません。どの問題に答えるかは、審査会ごとに要項や問題用紙で指定されます。たとえば埼玉県の地方審査は回ごとに違う問題を指定していて、山形県が主管した連合審査会では段ごとに2問を指定していました。

自分が受ける回の要項を開いて、「自分の段の欄にどの問題が書かれているか」をまず確認してください。ここを取り違えると、どれだけ良い答案でも採点されません(これは次の章で)。

古い記事の問題に注意!

学科の問題は年度ごとに新しい版が出て、ときどき形も変わります。たとえば昨年度(令和7年度)までは、無指定で「基本の姿勢と動作」、初段で「執弓の姿勢」の説明が出ていて、A群・B群は各1問でした。ネットの解説記事や先輩の答案は、その年の問題と形が違うことがあります。準備はその年度版の問題で、が基本です。

書き始める前に|答案用紙のルール

中身より先に確認したいのが答案用紙の決まりです。内容がよくても、決まりを外すと採点されなかったり受け付けてもらえなかったりします。各地の要項・注意書きから、よく出てくるものを並べました。

チェック中身書いていた連盟の例
指定の用紙を使う連盟が配る(サイトからダウンロードする)答案用紙を使う。縮小印刷しない群馬・栃木
自筆で書く回答も氏名も手書き。パソコンで打った答案は不可群馬・埼玉
問題文を書き写す答案の最初に問題文を書き写してから回答する埼玉・群馬
指定の問題に答える指定と違う問題に答えた答案は採点の対象外埼玉
訂正は書き直し二重線・訂正印・修正液は使わず、新しい用紙に書き直す埼玉・春日部
用紙を埋める答案用紙1枚に収め、8割以上を使う群馬(書き方作法)
綴じ方2穴をあけてクリップで留める(ホチキス不可)埼玉
各県・支部の弓道連盟の令和8年度の要項・注意書きより

細かいところは連盟によって違うので、最後は自分の要項の注意書きが正解です。英語で書いてもよいとしている連盟もあります。

字数については、全弓連の問題にも、調べた要項にも決まりは見当たりませんでした。目安になるのは群馬県の「用紙1枚の8割以上」という書き方作法です。行数は用紙によって違うので、手元の用紙を見て「8割埋まる量」を考えると現実的です。

A群(射法八節など)の答案の組み立て方

A群は弓道の知識を問う問題なので、自分の意見を書く場所ではありません。各地の書き方の注意を読む限り、土台になるのは全弓連の『弓道教本 第一巻』です。書かれている内容を自分の言葉で要約できれば、答案の形になります。

「射法八節を順番に書く」は、漏れと漢字に注意

射法八節は、矢を射る一連の動作を8つに分けたものです。順番はこうなります。

足踏み → 胴造り → 弓構え → 打起し → 引分け → 会 → 離れ → 残心

簡単そうに見えますが、ここで落とすともったいない問題です。群馬県の書き方作法では、射法八節を列挙するよう指示された問題で1つでも書き漏れがあると学科は不合格になる、と注意しています。「打起し」を「打ち起こし」と書くような送り仮名の揺れ、「残心」と「残身」の表記も、教本と自分の連盟の問題用紙の表記に合わせておくと安心です(全弓連の問題では「残心(身)」と併記されています)。

用語の漢字や読み方に迷ったときは、弓道用語集|稽古で聞く言葉の読み方と意味を場面別に整理も確かめてみてください。

「1つを選んで説明」は、教本の該当箇所を自分の言葉で要約する

初段のA群②は、八節のうちどれを選んでもかまいません。書く順番を決めておくと、どの節を選んでも組み立てやすくなります。

  1. その節が、射の流れの中で何をする動作か(1〜2文)
  2. 形や心の持ち方のポイント(教本の言葉を使いながら、自分の言葉で)
  3. 前後の節とのつながり(次の節にどうつながるか)

選ぶときは、教本の説明が具体的で読みやすく、自分が稽古で先生から注意されている節にすると書きやすいと思います。注意された内容は、そのまま「形のポイント」の材料になるからです。八つの節それぞれの中身は射法八節とは|足踏みから残心まで8つの動作を図と動画で整理にまとめています。

弐段以上の「あなたが注意していること」は3つを混ぜる

弐段のA群は「足踏み・胴造りで、あなたが注意していること」のように、自分の稽古を聞く形になります。群馬県の書き方作法は、学科の答えを「教本の内容」「指導されてきた内容」「自分が注意・考えている内容」の3つを総合して書くよう勧めています。教本の説明だけを並べても、自分の話だけを書いても、問いに答えたことにならないわけです。

余談になりますが、私が昔通っていた抜刀(こちらは段位持ち)の教室でも、先生に教わって頭でわかっていることと、体でできることは別物でした。この問いは、まず「わかっていること」をきちんと言葉にする場なのだと感じます。その上で、できていないことを正直に書いたうえで、何に気をつけているかを書けば十分なのかなと調べていて思いました。

A群の答案は、どの段でも教本が土台になります。手元に一冊あると、問題が変わった年にも困りません。

弓道教本 第一巻(全日本弓道連盟)

射法八節や体配の考え方を確かめる基本の一冊で、学科の答案づくりにも役立ちます。全弓連の公式サイトからも購入できます。

B群(考えを述べる問題)の答案の組み立て方

B群は正解が一つに決まっている問題ではありません。とはいえ、思いつくままに書くと話が散らばります。決まった書式はありませんが、各地の書き方の注意を読み合わせると、次の4段で組むのがまとまりやすいと思います。

  1. 結論:問いへの答えを最初の1〜2文で言い切る
  2. 理由と具体的な場面:そう考えるようになったきっかけや、稽古の中の出来事
  3. 弓道の考え方とのつながり:礼や射の心構えなど、教本で学んだこととどう結びつくか
  4. これから:その考えを、これからの稽古でどう生かすか

「始めた動機」なら|わたしが書くならこう組み立てる

例として、初段のB群「弓道を始めた動機」を、わたし自身の場合で骨組みにしてみます。答案の全文ではなく、段落ごとに何を書くかのメモです。あくまでわたしならという例です。

  • 結論:もう一度、武道の稽古の時間を生活に取り戻したかったから
  • きっかけ:以前は抜刀の教室に通っていたが、仕事が忙しくなって離れた。時間に余裕ができたとき、新しい武道として弓道を選んだ
  • 弓道とのつながり:礼法や立ち居振る舞いも含めて稽古の本体として大事にするところに、抜刀と通じるものを感じた
  • これから:射の前の所作から丁寧に身につけていきたい

動機に立派な理由は要りません。「部活の勧誘で」「友人に誘われて」でも、そこから何に惹かれて続けているのかを3〜4段目で書ければ、答案として形になるのかなと思います。

きれいごとだけでも、体験だけでもない

B群でよくありそうなのが、「礼節を学びました」「精神が鍛えられました」と立派な言葉だけが並ぶ答案と、稽古の思い出話だけで終わる答案です。前者は誰の答案でも同じになり、後者は弓道の考え方とつながりません。自分の具体的な場面を一つ入れて、それを弓道の考え方に結びつけると、自分の答案になるだろうと思います。

参段の「仲間の安全のための心掛け」のような問題は、心構えだけでなく行動で書くとはっきりするでしょう。たとえば矢取りのときの合図や、射場に入る前の確認など、道場で自分が実際にしていることを書くのが近道です。

書く材料が見つからないときは

「学んで得たこと」「稽古の目標」などで手が止まったら、ここ数か月の稽古で先生に言われたこと、できるようになったこと、まだできないことを書き出してみてください。B群の材料は、その中から見つけやすいと思います。

落とされやすい答案|丸写し・取り違え・書き足りない

「模範解答」を探してこの記事にたどり着いた人もいると思います。ただ、ネットの解答例を丸写しするのはおすすめしません。

年度や問題が自分の要項と違うことがありますし、群馬県の書き方作法のように、教本の内容に加えて指導されてきたことや自分が注意していることを書くよう求めている連盟もあります。レポート形式なら教本を見ながら書けるので、教本を読んで自分の言葉で要約するほうが、結局は確実です。

ほかに、要項の注意書きから見て、もったいない落とし方につながりそうなのはこんな答案です。

  • 指定と違う問題に答えている、問題文を書いていない
  • 射法八節の書き漏れ・誤字がある
  • 用紙の半分も埋まっていない
  • パソコンで打った、訂正印を使ったなど、連盟の決まりに合っていない

どれも内容の良し悪しより手前の話です。提出前に、上の答案用紙のチェック表と見比べておくと防げます。

提出までの段取り|申込締切から逆算する

学科の答案は申込書と一緒に出すことが多いので、締切は申込の締切と同じと考えておくのが安全です。申込の締切は、審査日の3週間〜2か月あまり前に置かれていることが多くありました。

  1. 要項で、自分の段の問題と答案用紙・注意書きを確認する
  2. 教本の該当箇所を読む(A群)、書く材料を書き出す(B群)
  3. 別の紙に下書きする
  4. 先生や先輩に見てもらう
  5. 答案用紙に清書して、誤字・漏れ・決まりを見直す
  6. 申込書と一緒に、締切までに提出する
弓道の審査の学科答案を、要項の確認から提出までの6つの手順で示した図

清書で書き損じると最初から書き直しになる連盟もあるので、下書きを先生に見てもらう時間まで含めて、早めに取りかかるのがおすすめです。申込の手続き全体は審査の流れの記事にまとめています。

弓道審査の筆記のよくある質問

Q. 教本を見ながら書いてもいいですか?

レポートとして事前に出す形なら、教本を参考にして書いてよいと要項に書いている連盟があります。会場で書く形の審査会なら持ち込みの扱いが違うかもしれないので、要項で確認してください。

Q. 何字くらい書けばいいですか?

全弓連の問題にも、調べた要項にも字数の決まりは見当たりませんでした。群馬県の書き方作法にある「答案用紙1枚の8割以上」が一つの目安です。

Q. 筆記だけで落ちることはありますか?

あります。四段以下は学科で60点以上が合格の条件なので、行射がよくても学科が届かなければ不合格です。

Q. 中学生・高校生も同じ問題ですか?

問題は同じ全弓連の一覧から出されます。栃木県のように小学・中学生用の答案用紙を分けている連盟もあります。部活で受ける場合は、顧問の先生から問題と用紙の案内があるはずです。部活全体のことは弓道部とは|練習内容・1年の流れ・費用・向いている人にまとめています。

Q. 去年の問題で準備してもいいですか?

問題は年度で変わることがあるので、受ける年度の問題で準備してください。全弓連のサイトで、その年度版が公表されています。

まとめ

弓道の審査の学科は、全弓連が年度ごとに公表する問題の中から、審査会が指定した問題に答えます。初段ならA群は射法八節の2問、B群は考えを述べる1問です。

書く前に答案用紙の決まり(自筆・問題文・訂正のしかた)を確認し、A群は教本を自分の言葉で要約、B群は「結論→場面→弓道の考え方→これから」で組み立てる。丸写しより、教本と自分の稽古から書いたほうが確実だと思います。

A群の答えも、B群で書く「弓道の考え方」も、もとになるのは『弓道教本 第一巻』です。

弓道教本 第一巻(全日本弓道連盟)

射法八節や体配を確かめる基本の一冊で、学科の答案づくりにも使えます。全弓連の公式サイトからも購入できます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

大人になってから弓道を始めた初心者です。以前は抜刀の教室に通っていました。道具の選び方も作法も、はじめは何もわからず調べる毎日。同じところでつまずく人のために、調べてわかったことを一つずつ整理しています。

目次