弓道を始めると、ゆがけ(弽・かけ)の話には必ず「下がけ」がついてきます。教室では道具の名前が当たり前のように飛び交っていて、わたしも最初は、下がけがゆがけの一部なのか別の道具なのかさえ分かっていませんでした。
答えは別の道具です。下がけは、ゆがけの下にはめる木綿の薄い手袋で、手の汗からゆがけを守るためのもの。わたしはゆがけを教室で借りていますが、下がけは自分のものを使っています。
選び方はシンプルで、指の数はゆがけに合わせる(三つがけなら三つ用)、最初は白の綿で十分、そして洗い替えを含めて2〜3枚。値段は白の綿なら1枚160〜360円ほどです。そのうえで、サイズの測り方が店によって違うことや、洗い方、審査で使う色など、買う前と使い始めてから気になるところを整理しました。
- 下がけとは何か、何のために着けるのか
- 三つ用・四つ用、形と素材の違い
- 初めての下がけの選び方とサイズの合わせ方
- 何枚あればいいか、値段の目安(2026年10月時点)
- 洗い方と、ゆがけを傷めない使い方
弓道の下がけとは|ゆがけの下にはめる木綿の手袋
ゆがけは鹿革でできていて、水分や湿気に弱い道具です。素手で着けると、手の汗や脂がそのまま革に染みてしまいます。そこで間にはめるのが下がけ。ゆがけを使うときは汗から守るために木綿の下がけを必ず付ける、というのが基本です。
弓具店の説明では、汗がゆがけに染みると革の傷みやカビの原因になるそうです。数万円するゆがけを長く使うための、いちばん安い守りが下がけ、と考えると分かりやすいと思います。
呼び方は「下がけ」「下カケ」「下掛け」「したかけ」とばらばらですが、どれも同じものです。弓具店の商品名でも表記がそろっていないので、探すときはどれで検索しても見つかります。
ゆがけを借りていても、下がけは自分で用意する
教室や部活でゆがけを借りる場合でも、下がけは自分のものを用意するのが普通です。直接肌に触れるものですし、1枚数百円なので、最初の買い物リストに入っていることが多い道具です。弓道の道具一覧でも、下がけは「自分で用意する」側に入れています。
ゆがけ本体の種類や値段、サイズの合わせ方はゆがけ(弽)とは|三つがけ・四つがけの違いと値段・選び方にまとめています。
下がけの種類|指の数・形・素材・色
弓具店の下がけのページを開くと、思ったより種類があって驚きます。ただ、違いは4つの軸に分けると整理できます。
指の数:三つ用・四つ用はゆがけに合わせる
下がけにも、ゆがけと同じく三つ用と四つ用があります。これは自分で選ぶものではなく、使うゆがけの指の数に合わせるだけ。初心者は三つがけを使うことが多いので、たいていは三つ用です。借りているゆがけが四つがけなら、四つ用を選びます。
ほかに、弓を持つ左手に着ける「押し手がけ」用の下がけもありますが、初心者が最初に用意するものではありません。
形:標準・ぴったり・手首長め
いちばん多いのは、白い綿の生地を手の形に縫った標準のタイプ。手首の部分を巻き付けて留めます。
そのほかに、伸びる編み地で縫い目をなくした「ぴったり」系があります。弓具店の説明では、手に沿ってフィットし、ゆがけのずれを抑えられるとのこと。値段は標準の2倍ほどです。手首の巻き付け部分が長い「手首長め」もあり、麻混の生地で夏用として売られているものもあります。
素材:基本は綿
全日本弓道連盟(全弓連)の案内にもあるとおり、基本は木綿です。弓具店でも綿100%のものが中心で、ほかにポリエステル混、夏向けとして売られている麻混、スエードのような手ざわりの人工セーム革のものもあります。どれが合うかは人によるので、最初は綿の標準タイプで始めて、気になることが出てきたら試す、で十分だと思います。
色・柄:白が基本、色柄ものも多い
基本は白です。弓具店の説明では、白は汚れがすぐ目立つので、汚れたものを道場に持ち込まずに済む(汚れたら買い替える)、という理由もあるそうです。替え時が目で分かる、というのは実用的にも助かります。
一方で、色もの・和柄・刺繍入りなどもたくさん売られていて、普段の稽古で色柄ものを使っている人も少なくありません。審査で使う色については、記事の最後の「よくある質問」で触れます。
初めての下がけの選び方|サイズは「買う店の表」で
ここまでをまとめると、最初の下がけは次の順に決めれば迷いません。

このうち、少し注意がいるのがサイズです。
サイズ表の測り方は、店によって違う
下がけのサイズ表は、店ごとに作り方がそろっていません。親指・人差し指・中指それぞれの長さと手首まわりで示す店もあれば、指の付け根からの長さだけで示す店もあります。表記も「特小〜特大」「SS〜LL」「小・中・大」とまちまちです。
なので、ほかの店で買ったサイズをそのまま当てはめるのではなく、買う店のサイズ表を見て、その店の測り方どおりに自分の手を測るのが確実です。数字のどこを測ればいいか分からないときは、注文の前に店に聞いてしまいましょう。
大きすぎ・小さすぎのとき
ほかの経験者の声を見てみましたが、大きすぎる下がけは指先が余って、ゆがけの差し心地が悪くなるようです。中指が曲げにくくなる、という声もあります。逆に小さすぎると、きつくて着けるのが大変です。
下がけは肌に直接着けるものなので、一度使ったら返品・交換はできません。未使用でも衛生商品として受け付けない店もあります。初めて買う店なら、まず1枚だけ買ってサイズを確かめ、合っていたら枚数をそろえる、という買い方が無駄がないと思います。
下がけは何枚あればいい?値段の目安【2026年10月時点】
下がけは稽古のたびに汗を吸うので、使ったら洗うものです。洗っている間と乾くまでの分を考えると、洗い替えを含めて2〜3枚あると回せます。汗をかく季節や長く引く日は、途中で新しいものに替える人もいます。部活のように毎日引くなら、もう少し多めにあると安心です。弓具店には5枚組などのまとめ買いセットもあります。
値段は、弓具店の通販サイトを見比べるとおよそ次の感じです。
| 種類 | 値段の目安 |
|---|---|
| 白・綿の標準タイプ(三つ用) | 1枚 約160〜360円 |
| 「ぴったり」系(伸びる編み地) | 1枚 約450〜650円 |
| 色もの・柄もの・刺繍入り | 1枚 約170〜900円 |
| 人工セーム革 | 1枚 約1,000円 |
| 白のまとめ買いセット | 5枚組で800円ほどから |
気をつけたいのは送料です。1枚160円の下がけでも、送料が300円台かかる店があります。下がけだけを1枚ずつ頼むより、何枚かまとめるか、ゆがけや小物と一緒に買うほうが割安です。
白・綿100%の三つがけ用 下がけ
山武弓具店の三つ下カケ(白・綿100%)は1枚160円・送料別(2026年10月時点・楽天市場)。サイズは特小〜特大の5つ。指の数はゆがけに合わせ、サイズは店のサイズ表で確かめてから選んでください。
下がけの洗い方と、ゆがけを傷めない使い方
ゆがけは水洗いできませんが、下がけは洗うものです。汗はできるだけ下がけに吸わせて、下がけのほうを毎回きれいにしておく。この役割分担が、ゆがけを長持ちさせるコツです。
- 稽古が終わったら、下がけはゆがけから外して、ゆがけとは別の袋に入れて持ち帰る
- 洗濯機で洗ってかまわない。型くずれが気になるなら洗濯ネットに入れる。手洗いでもよい
- 白の綿で黄ばみや汚れが気になるときは、漂白剤を使う人もいる(色柄もの・綿以外は表示を確認)
- 形を整えて干し、しっかり乾かしてから次に使う
汗を吸った下がけは、その日のうちに洗う人が多いようです。下がけを長く使えるかどうかは、洗い方そのものより、汗を吸ったまま放っておかないことのほうが大きいように思います。
湿った下がけのまま、ゆがけを着けない!
汗で湿った下がけを着けたままでいると、結局その湿気がゆがけに移ります。汗をかいたら途中で乾いたものに替える、稽古のあとは下がけを入れっぱなしにしない、の2つは習慣にしておきたいところです。ゆがけそのものの手入れや、紐の結び方を含めた着け方は弓道のかけ(ゆがけ)の付け方・紐の結び方と手入れの基本にまとめています。
下がけのはめ方
はめ方自体は手袋と同じですが、指先までしっかり入れて、しわを寄せないことがポイントです。しわや余りがあると、その上に着けるゆがけの収まりが悪くなります。標準タイプは、手首の部分を巻いて留めてから、ゆがけを着けます。ゆがけは正座か跪坐(きざ)をして着けるのが決まりなので、下がけも座って準備しておくと流れがスムーズです。
下がけについてよくある質問
Q. 審査では白い下がけでないとだめ?
規則で下がけの色が決まっているわけではないようです。経験者の声を見ても、「審査は白がいい」という人もいれば、「単色や柄ものでも問題ない」という人もいます。以前は白を勧める連盟もあったそうで、普段は色柄もの、審査用に白を1枚、と使い分けている人もいます。気になるなら、白を1枚持っておくと安心です。審査の持ち物や流れは弓道の審査とはにまとめています。
Q. 下がけを着けずにゆがけを使ってもいい?
おすすめしません。全弓連の案内でも、ゆがけを使うときは下がけを必ず付けるとされています。教室で借りるゆがけはほかの人も使うものなので、なおさらです。
Q. 下がけは手作りできる?
好きな生地で手作りしている人もいます。ただ、市販品なら1枚160円ほどからあって、サイズも選べます。最初は市販のものを使って、自分に合う形が分かってから考えても遅くないと思います。
Q. どのくらいで買い替える?
何か月、と決まっているものではありません。指先に穴があいた、生地が薄くなってきた、洗っても汚れが落ちなくなった、というときが替え時です。使う頻度で大きく変わるので、2〜3枚を順番に使いながら、傷んだものから入れ替えていくのが現実的です。
まとめ|白の綿・ゆがけと同じ指の数・2〜3枚から
下がけは、ゆがけを汗から守るための木綿の手袋です。最初の1枚は、ゆがけと同じ指の数の、白い綿の標準タイプで十分。サイズは買う店のサイズ表で測り、洗い替えを含めて2〜3枚用意して、稽古のたびに洗って回します。
小さな道具ですが、ゆがけを長く使えるかどうかを左右する道具でもあります。これからゆがけを自分で買う人は、下がけと一緒に揃えておくと安心です。弓道を始めるときの道具全体の費用は弓道にかかる費用で整理しています。
ゆがけ(弽)とは|三つがけ・四つがけの違いと値段・選び方
弓道の道具一覧
これからゆがけを買う人へ:手形で選んでもらえる三つがけ
右手の手形を郵送すると、店が合うゆがけを選んで送ってくれます。山武弓具店「翔鳳 並」手形合わせ 24,800円(2026年10月時点・楽天市場・送料無料)。三つがけでよいかは、注文の前に先生に確認してください。
