弓道の中仕掛けの作り方|太さの目安と位置・道具

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自分の弦を持つようになると、弦輪を作って張ったあとに待っているのが中仕掛けです。でも、何を、どこに、どのくらい巻けばいいのか、最初は分かりにくいですよね。そんな人も多いのではないでしょうか。

わたしはいまは教室の弓と弦を借りていて、自分の弦は持っていません。それでも、借りている弦に巻いてある中仕掛けが何をしているのかは知っておきたくて、弓具店の解説や中学校向けの指導書、スポーツ庁の動画を読み比べて、作り方を整理しました。

先に結論を書くと、中仕掛けは「矢と弦が直角になる番えどころ」に麻を巻いて太くしたもので、太さは自分の矢の筈(はず)とゆがけの弦枕(つるまくら)に合わせて決めます。位置や長さの数字は資料によって幅があるので、最後は自分の矢を番えて確かめ、先生や先輩に見てもらうのが確実です。

この記事でわかること
  • 中仕掛けの役割と、ないと困ること
  • 作る前に用意する道具・材料と値段(2026年11月時点)
  • 中仕掛けの作り方(5つの手順)
  • 太さと形の目安、太すぎ・細すぎで起きること
  • うまくいかないときの直し方と、作り直すタイミング
目次

弓道の中仕掛けとは|矢を番えるところを作る弦の補強

中仕掛け(なかじかけ)は、弦の矢を番える(つがえる)あたりに麻を巻いて、太く補強した部分のことです。弦の真ん中ではなく、弓の握りより少し上、下寄りの位置にあります。

和弓の各部の名前。上から末弭、弦と中仕掛け、矢摺籐、握り、本弭。握りは下から約3分の1の位置

矢の後ろの端には、弦をはさむための切れ込み(筈)があります。この筈を弦にはめることを「番える」といい、はめる場所を作っておくのが中仕掛けの役目です。

中仕掛けの役割は3つ

調べてみると、中仕掛けには大きく3つの役割があります。

  1. 筈をはめて保つ:弦をほどよく太くして、番えた矢がずれたり外れたりしないようにする
  2. 弦を守る:ゆがけが弦に直接かかって、弦が毛羽立ったり切れやすくなったりするのを防ぐ
  3. ゆがけの弦枕のかかりを整える:ゆがけの親指にある溝(弦枕)が掛かるところの太さを整える

3つめは見落としがちですが、弓具店の動画でも大事なところとして取り上げられていました。太さの話は、このあと詳しく書きます。

中仕掛けがないと何が困るか

中仕掛けを作らずに引くと、筈がうまくはまらず、番えた矢が離れる前に弦から外れる「筈こぼれ」が起きやすくなります。

もうひとつは弦とゆがけの傷みです。弦にじかにゆがけを掛けていると、弦が毛羽立って切れやすくなったり、ゆがけの溝が深くなったりする、という声が経験者からも弓具店からも出ていました。中仕掛けは、矢のためだけでなく弦とゆがけを守るためのものと考えておくとよさそうです。

中仕掛け付きの弦もある

自分で作るのが不安なうちは、中仕掛けを巻いてある弦(千本弦など)を選ぶ手もあります。ただし、弦輪は自分で作る必要があり、付いている中仕掛けの位置や太さが自分の矢と弓に合うかは、番えて確かめてください。合わなければ、結局作り直すことになります。

弦そのものの選び方と弦輪の作り方は、弓道の弦の種類とおすすめにまとめています。

中仕掛けを作る前に用意するもの

中仕掛けに使う道具は、どれも小さくて安いものばかりです。弓具店の通販で、ほかの小物と一緒に揃えられます。

道具・材料何に使うか値段の目安
中仕掛け用の麻(または合成繊維)弦に巻いて太さを作る糸。少量ずつ使う3〜5gで330〜440円ほど
接着剤合成弦なら木工用ボンドなど、麻弦ならくすね木工用ボンドは手持ちで可。くすね 440〜850円ほど
道宝(どうほう)巻いた麻を締めて形を整える道具400〜800円台
ペン番える位置と巻く範囲に印をつける手持ちで可
的中定規(あれば)矢と弦が直角になる位置を測る1,000〜3,000円ほど
自分の矢筈のはまり具合を確かめる—
弓具店の通販・楽天市場の販売価格(2026年11月時点・送料別)

道宝は、長さ10cmほどの小さな木の道具です。巻き終わった麻をはさんでこすり、締め固めるのに使います。名前は聞き慣れませんが、中仕掛けを作るためだけの道具だと思って大丈夫です。

接着剤は弦の種類で選ぶ

いま主流の合成弦なら、木工用ボンドで作るのが一般的です。スポーツ庁の動画でも、木工用の接着剤を塗ってから麻を巻いていました。フエキ糊を使う人もいます。

昔ながらのやり方は、くすね(松やにと油を混ぜたもの)を使う方法です。麻弦では、くすねを弦によくしみこませてから麻を巻く、と指導書にも書かれています。ボンドを使ったときは、乾くまで待ってから引くようにします。

新しい弦は、張って少し伸ばしてから作る

合成弦は、張ってしばらくのあいだ伸びます。張ってすぐに中仕掛けを作ると、弦が伸びたあとで番える位置がずれてしまうことがあります。

弓具店や経験者の解説では、弦を張ってしばらく置き、何回か素引きをしてから中仕掛けを作るよう勧めています。弦輪を少し短めに作っておく、という工夫も紹介されていました。

中仕掛けに使う麻と道宝

山武弓具店・楽天市場で、中仕掛け用の糸(麻と合成繊維の2種類・約3g)330円、道宝(小)710円(2026年11月時点・送料別)。どちらもネコポスで届く小物なので、替えの弦と一緒に揃えておくと安心です。

中仕掛けの作り方|5つの手順

手順そのものはシンプルです。どの資料でも、「位置を決める → 接着剤を塗る → 麻を巻く → 道宝で締める → 矢を番えて確かめる」の流れは共通していました。

中仕掛けの作り方の流れ。番える位置に印をつける、巻く範囲に接着剤を塗る、麻を上から下へ巻く、道宝で締める、矢を番えて太さを確かめる

① 番える位置を決めて印をつける

いちばん大事な工程です。弓を張った状態で、矢を番えたときに矢と弦が直角になる位置を探します。目安は、握り革と籐(とう)の境目のあたり。的中定規があれば、弦に当てるだけで直角の位置が分かります。

番える位置が決まったら、弦にペンで印をつけます。指導書には、握りに対して番える位置が低いと、弓手(左手)の親指を傷める原因になるとも書かれていました。低すぎないかは、ここで一度確かめておきたいところです。

② 巻く範囲に接着剤を塗る

番える位置の少し上から、ゆがけの弦枕が掛かる下のほうまでが、中仕掛けを巻く範囲です。上下の端にも印をつけておくと、巻くときに迷いません。

その範囲に、木工用ボンドを薄くまんべんなく塗ります。麻弦の場合は、ここでくすねを弦によくすり込みます。

③ 麻を少しずつ巻く

中仕掛け用の麻を少量取り、軽くほぐしてから使います。麻の途中を弦に当てて、短いほうの端から先に、上から下へ巻いていき、続けて長いほうの端を同じく上から下へ重ねて巻きます。巻くときは、麻がゆるまないように少し引っ張りながら巻く、と書いている解説が多いです。

巻く向きは、資料によって説明が違います。スポーツ庁の動画では、片側を時計回りに、もう片側を反時計回りに巻いていました。教わっている先生や先輩のやり方があれば、そちらに合わせてください。

④ 道宝で締めて形を整える

巻き終わったら、道宝で中仕掛けをはさみ、上から下へこするようにして締めます。こうすると麻が締まって、表面がなめらかになり、太さもそろいます。

⑤ 矢を番えて太さを確かめる

最後に、自分の矢を番えてみます。ゆるすぎず、きつすぎず、筈がきちんとはまる太さになっていれば完成です。はめたときに軽く音がするかしないかくらいが目安、と書いている解説もありました。

文字だけではイメージしにくいので、スポーツ庁の動画を置いておきます。1分54秒あたりからが中仕掛けの作り方で、1分半ほどで見られます。

スポーツ庁「【弓道】20 弓を射る前の準備」

中仕掛けの太さと形の目安|筈と弦枕で決める

中仕掛けづくりでいちばん迷うのが太さです。ここは「筈がかかる上のほう」と「弦枕がかかる下のほう」に分けて考えると、整理しやすくなります。

形は「上を太く」が多いが、下を太めにする考え方もある

よく紹介されているのは、番える位置の上を太くし、下に向かって細くする形です。筈が上から外れにくくするため、と説明する弓具店もあります。逆三角形やちまきのような形、と表現されることもあります。

一方で、ゆがけの弦枕がかかる下側を気持ち太めに作るほうがよい、と話す弓具店もあります。全体を同じ太さにする形もあるようなので、はじめは教わっている先生や先輩の形で作り、矢を番えながら調整していくのがよさそうです。

筈がかかる所は「きちんとはまる」太さに

太すぎると筈が入りにくくなり、きつすぎる中仕掛けは筈割れのもとになる、という声もあります。細すぎると筈がゆるく、筈こぼれの原因になります。太さは、自分の矢の筈に合わせるものなので、ほかの人の矢でちょうどよくても、自分の矢で合うとは限りません。

弦枕がかかる所は、太すぎても細すぎても困る

番える位置の下は、ゆがけの弦枕が掛かるところです。細すぎると取懸けが深くなって、離れで引っかかりやすくなります。猪飼弓具店の動画では、細いまま弦枕を掛けていると溝がだんだん深くなり、離れが出にくくなることがある、と話していました。

反対に、太すぎると弦が早く抜けやすく、暴発の原因になります。どのくらいがちょうどいいかは、ゆがけの溝の深さによって人それぞれです。

症状から見直すところをまとめると、次のようになります。あくまで目安で、射のほうに原因があることも多いので、気になる症状が続くときは先生に見てもらってください。

起きていること中仕掛けで見直すところ直し方の方向
筈が入りにくい・きつい筈がかかる所が太すぎる巻き直して細くする
番えた矢がすぐ外れる(筈こぼれ)筈がかかる所が細すぎる・上側が足りない上側を少し太くする
離れで引っかかる・離れが出にくい弦枕がかかる所が細すぎる下側を少し太くする
引いている途中で暴発しやすい弦枕がかかる所が太すぎる下側を細くする
中仕掛けの太さの見直し早見表(目安)

離れで引っかかる原因は中仕掛けだけではありません。離れそのものの考え方は、弓道の離れとはにまとめています。弦枕の場所はゆがけ(弽)とはで確認できます。

位置と長さは、資料によって幅がある

調べていてとまどったのが、巻き始めの位置と長さの数字が、資料ごとに違うことです。たとえば、次のような幅がありました。

  • 巻き始め:番える位置の1〜1.5cm上(中学校の指導書)、約2cm上、筈1個ぶんほど上など
  • 長さ:5cmほど(弓具店の解説)から、8〜10cmほど(中学校の指導書の図)まで

どれかが間違いというより、弓の強さや矢、ゆがけ、教わる流れによって変わる部分なのだと思います。数字は目安にとどめて、自分の矢と弓で確かめ、先生や先輩に一度見てもらう。これがいちばん失敗の少ないやり方です。

うまくいかないとき・作り直すとき

太すぎた・細すぎたときの直し方

細すぎたときは、麻の量を足して巻き直します。太すぎたときは、つぶしたり削ったりして細くする方法もありますが、手間がかかります。麻は一度にたくさん巻かず、少しずつ巻いては矢を番えて確かめるのが、結局いちばんの近道のようです。

作り直す・整えるタイミング

中仕掛けは、弓を引いているうちに少しずつほころんでいきます。ほつれやゆるみが出てきた、筈のはまり具合がゆるくなった・きつくなったと感じたら、整えるか作り直すタイミングです。

また、弦は使っているうちに伸びるので、番える位置が少しずつずれることがあります。稽古の前に番える位置を確かめる習慣をつけておくと安心です。弦を新しくしたときは、もちろん中仕掛けも作り直しになります。替えの弦は、中仕掛けまで作ってから弦巻にしまっておくと、切れたときにすぐ張り替えられます。

部活の弓・弦は、部のやり方を先に聞く

部活で部の弓や弦を使っているなら、中仕掛けの作り方や太さに、部で決まったやり方があることも多いはずです。自分で作り直す前に、顧問の先生や先輩に一度聞いておくと、ほかの部員の矢と合わない、といった行き違いを防げます。

中仕掛けについてよくある質問

Q. 中仕掛けはどのくらいもちますか?

引く回数や作り方によって違うので、何射という決まった目安はありません。ほころびやゆるみが出たら整え、弦を替えるときに作り直す、と考えておけば大丈夫です。

Q. 麻と合成繊維の糸、どちらを使えばいい?

弓具店では、中仕掛け用の糸として麻と合成繊維の両方が売られています。指導書やスポーツ庁の動画など、作り方の解説の多くは麻で作っています。迷ったら教わっている先生や先輩と同じものを使うのが無難です。

Q. 木工用ボンドでも大丈夫ですか?

大丈夫です。合成弦では木工用ボンドで作るのが一般的で、スポーツ庁の動画でも木工用の接着剤を使っています。乾くまで待ってから引くようにしてください。

Q. 中仕掛け付きの弦でも作り直したほうがいい?

付いている中仕掛けが、自分の矢と弓に合っていればそのまま使えます。番えてみて、位置が直角からずれている、筈がゆるい・きつい、といった場合は作り直しが必要です。

Q. ぎり粉や筆粉は、中仕掛けと関係ありますか?

中仕掛けとは別の道具です。ぎり粉はゆがけの親指につける滑り止めの粉、筆粉(ふでこ)は弓の握りの滑りを止める粉です。どちらも1つ数百円ほどの小物です。ぎり粉の使い方と払い方はゆがけ(かけ)の付け方・紐の結び方と手入れ、ほかの小物の全体像は弓道の道具一覧にまとめています。

まとめ|位置は直角、太さは筈と弦枕に合わせる

中仕掛けは、矢を番えるところに麻を巻いて作る、弦の補強です。番える位置は矢と弦が直角になるところ、太さは自分の矢の筈とゆがけの弦枕に合わせる。作り方は「印をつける → 接着剤 → 麻を巻く → 道宝で締める → 番えて確かめる」の5つで、道具も、定規を除けば数百円ずつで揃います。

位置や長さの数字は資料によって幅があるので、少しずつ巻いては確かめ、先生や先輩に見てもらいながら、自分に合う中仕掛けを見つけていくのがよさそうです。

中仕掛けに使う麻と道宝

山武弓具店・楽天市場で、中仕掛け用の糸(麻と合成繊維の2種類・約3g)330円、道宝(小)710円(2026年11月時点・送料別)。どちらもネコポスで届く小物なので、替えの弦と一緒に揃えておくと安心です。

弦の選び方は弓道の弦の種類とおすすめ、道場で耳にする道具の名前は弓道用語集にまとめています。

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この記事を書いた人

大人になってから弓道を始めた初心者です。以前は抜刀の教室に通っていました。道具の選び方も作法も、はじめは何もわからず調べる毎日。同じところでつまずく人のために、調べてわかったことを一つずつ整理しています。

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